ID:93827
脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
[786646hit]

■ わんわん電車 にゃんにゃん電車 ケーキ電車
きっかけは、ご近所仲間で鉄道ファンのT氏が関西土産に買って来てくれた雑誌『エルマガジン』に載っていた一枚の写真だった。昨年和歌山まで乗りに行った「おもちゃ電車」「いちご電車」の話題をはじめ関西鉄道色満載なその号を娘のたまは熱心に読み込み、駅弁や駅舎の研究にも余念がなかったのだが、ユニークな電車を紹介するページをとりわけ気に入り、車両そのものが犬の顔、猫の顔になった「わんわん電車」「にゃんにゃん電車」に異様な食いつきを見せた。「これ のる」と言い張るので、「今は無理だよ。今度大阪に帰ったときにね」と適当に返事していたら、大阪の実家に電話したときに「じいじ こんど わんわんでんしゃ のろうね」と約束を取りつけてしまった。

調べてみると、近鉄生駒鋼索線という名のケーブルカーで、始発の鳥居山駅は近鉄の生駒駅から直結している。生駒は、NHK奈良放送局の最寄り駅である近鉄奈良の手前なので、今回の仕事のついでに行くことにした。父と一緒に出かけて、帰りは生駒で別れて、たまを連れて帰ってもらうという計画。たまは一刻も早く乗りたくて、「わんわんでんしゃ まだ?」とせかすのだけど、「じいじ、おなかすいたわ。なんか食べてこ」と父がごねて難波の地下街を歩き回った挙げ句、ミンミンで餃子定食を食べて行く。たまは生駒へ向かう電車の中で力つきて寝てしまったが、絶妙な揺れ具合が眠気を誘う電車で、わたしたちの向かい側の乗客は、数えてみると20人連続うたた寝という集団催眠術にかかったような状態になっていた。

にゃんにゃん電車(「ミケ」の名前がついている)のケーブルカーに乗り込み、小学生の騒がしさにたまは目を覚ましたけれど、車内には猫デコレーションはなく、終点の宝山寺駅で下りてようやく「にゃんにゃん」だと喜んだ。にゃんにゃん電車は雑誌で見た以上に関西テイストのゴテゴテ感があり、インパクト大。関西人でもひるみそうな「どや!」という自己主張に恐れ入る。決してかわいくはないけれど、たまは「にゃーん」と満足げだった。
20分待って、さらに先へ乗り継ぐ。こんどのケーブルカーは「スイート号」という名前のデコレーションケーキをかたどった電車。こちらもコテコテのゴテゴテ。途中すれ違うのは音符満載の「ドレミ号」。

ブル(わんわん電車の愛称)とミケの看板が待ち受ける終点の生駒山上駅を出ると、生駒山上遊園地。冬の間は休業で誰もいないのだけど、門は空いていて、中を散歩できる。次に出る下りが30分後で、じっとしていては凍えてしまうので、歩き回るしかない。


寒空の下のひとけのない遊園地は淋しそうでもあり、凛とたたずんでいるようでもあり、なかなか絵になる。たまは「おやすみなの? みんなどうしたの?」と不満そうだった。


遊園地に住み着いているのか、野良猫が3匹固まっているところに近づくと、1匹はさっと逃げたけれど、あとの2匹はあまりの寒さにかじかんでいるのか背中を丸めてじっとしていた。その2匹に向かって、たまは「たまちゃんよ。こんにちは。よろしくね」としきりと話しかけたけれど、相手にされなかった。



[5]続きを読む

01月26日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る