ID:93827
脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
[786175hit]

■ マタニティオレンジ311 東京ディズニーシーでパークデビュー 
一年前、娘のたまの一歳の誕生日祝いに東京ディズニーランド/東京ディズニーシーのパスポートが4枚届いた。送り主のS氏は、わたしが広告会社のコピーライターとして東京ディズニーランド/東京ディズニーシーの広告を手がけていた頃の得意先で、『パコダテ人』以来、脚本家今井雅子を応援してくださっている。

東京ディズニーランド/東京ディズニーシーのことを「パーク」、パークへ行くことを「インパーク」と呼ぶという用語を知ったのも担当時代だった。パスポートを手にしたときから、いつインパークしようか、どちらのパークでデビューを飾ろうか、と考える楽しみがはじまった。わたしはランドよりは断然シー派。開園前から見守り、取材してきた思い入れもあるし、アトラクションに並ばなくても、七つの海の風景を眺め、あちこちから流れてくる音楽に耳を傾けながら歩いているだけで異国情緒を味わえて楽しい。……といったこともコピーでも書いていたけれど、実際そう思う。身長80センチ足らず2才未満のたまが乗れるアトラクションはどのみち限られているし、一家三人でシーへ行ってみることにした。

結果は大正解。たまは「うみ!」「ふね!」と歓声を上げ、シーの街並みを一目見て気に入った様子。おまけに、たまの大好きな「みじゅ!」が至るところにある。水飲み場で手足を濡らし、喉を潤し、水瓶のスプリンクラーの前でびしょ濡れになり、噴水に手を浸し、大はしゃぎ。チップとデールが船からホースで水をまく、というイベントは時間が合わなかったけれど、これに出くわしていたら大興奮だっただろう。

大人には何でもないことを喜ぶ、という発見では、S.S.コロンビア号3階ダイニングルーム脇の誰もいない木の廊下をいたく気に入り、なかなか立ち去ろうとしなかった。日陰でいい風が通り抜け、大人がひと休みするにもちょうどいい穴場。コロンビア号はわたしのお気に入りの場所でもあり、昼食は2階のテディ・ルーズヴェルト・ラウンジで。うまい具合にたまは昼寝してくれ、大人はサンドイッチとお酒を楽しんだ。

シーへ行くと必ず足を向けるのが、本場さながらの歌やダンスのライブエンターテイメントを楽しめるブロードウェイ・ミュージックシアター。これだけはどうしても観たい、とベビーカーで寝息を立てているたまを連れて移動すると、ベビーカーは中へ入れないので、お子さんは抱っこしてください、と言われる。抱き上げた途端、たまは目を覚ましたが、幸いごきげん。ショーがはじまるまでの待ち時間もぐずらず、始まってからは口にくわえていた指を拍手に切りかえた。おしゃれキャットマリーが登場して「ニャーン」とダンスし、『ねこふんじゃった』の一節がピアノで演奏される場面に小躍りし、ドラムを叩くミッキーにノリノリになり、最後まで身を乗り出して見入っていた。場内が明るくなって立ち上がったとき、「ニャーンは?」と舞台に目をこらすたまの表情を見て、急に涙が出てきた。幕が降りた後、ゆっくりと夢から醒めていくときの名残惜しさをこの子も今味わっている、そんな風に思えて、愛しさがこみあげた。親の趣味に無理矢理つきあわせちゃったかなという気持ちもあったので、親が思う以上にちゃんと伝わっていたんだ、と感激した。

アラビアンコーストを歩いていたら突然はじまったストリートライブにも、たまは釘づけ。演奏するメンバーがあまりにも楽しそうで、ずっと聴いていたいほど引き込まれた。飛び入り参加の男性のエアギターがいっそう盛り上げ、たまも一緒になってジャンプ!


[5]続きを読む

07月13日(日)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る