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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ マタニティオレンジ304 「たらちねの母」と「たらちねの女」
国文学者の中西進さんが新聞に「たらちねの母」と「たらちねの女」のことを書かれている記事を面白く読んだ。豊乳の美女が体型が崩れるのを恐れて授乳を怠った結果、乳腺炎と思われる症状に苦しんだ逸話がはるか昔の書物に残っているという話を引き合いに出し、乳の形を優先させて「女」として生きるか、乳の中身を役立てて「母」として生きるかが論じられている。
「たらちね」には無縁だったわたしは、妊娠出産で「たらちね」を体験したのだが、飲ませなければ泣き止まないし、こっちも乳腺炎で泣きを見るので、「たらちねの女」になる選択肢はなかった。わたしのオリジナル体型を知る人は、「お!」という反応を見せてくれたけれど、「たらちね」のおかげでモテることはなかった。やはり美女とセットでなくてはダメか。


わが「たらちね」はずいぶんしょんぼりしてきたけれど、娘のたまは二才を前にしても卒乳の気配を見せず、いまだに「たらちねの母」を引退できない。どこで覚えたのか、自分で編み出したのか、ボールをシャツの中に入れて「おっぱい!」とおどけていたたまは、最近ではぬいぐるみに授乳するようになった。だっこもさまになり、「たらちねの母」になりきっている。
06月29日(日)
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