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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 「夜は街より家にいたい」「予定はなるべく入れないで」という感覚
図書館の「今日返された本」コーナーで見つけた『40代のひとり暮らし』(岸本葉子)と目が合って、手に取った。「質感はだいじ」など、自分のこだわりについて綴った短いエッセイが40本ほど。子どもという同居人がふえて3人暮らしの身だけれど、あと2年で40代という同世代感からか、誰と暮らそうと自分の色に染めてしまう性格ゆえか、自分と重ねて読めるところが多かった。「愛のない(なくなった)人の分の家事労働ほど、負担に感じるものはない」なんて指摘にドキッとし、この負担が大きくなるとコンビ解消してひとり暮らしになるんだろうなあと想像する。とくに共感したのが、「夜は街より家にいたい」と「予定はなるべく入れないで」と題するエッセイ。20代の頃、一人で家で過ごす夜はもったいなく感じられたけれど、今は勝手知ったるわが家のくつろぎを贅沢だと思える。そして、20代はスケジュール帳を予定で埋めよう埋めようとしていたけれど、今はスケジュールの白い部分を守ろうとする。打ち合わせがなくなったとき、20代のわたしなら誰かを誘って穴を埋めたのだけれど、今は一人でゆっくりお茶を飲む時間ができたと考える。週の何日かは何にも予定がない日を確保しておきたいという著者の感覚に、わかるわかると膝を打ち、これが年を重ねて落ち着くってやつかしらと思った。余白を空しいと取るか、余裕と受け止めるか、やりたい放題を尽くして体力が落ちてきた三十代半ばあたりがその分岐点になるのだろうか。「でかけない度」と「予定あけとく度」が急に高まったのは、予測不能な幼子を抱えたせいかと思っていたけれど、40代突入の予兆的な変化だったのかもしれない。
06月03日(火)
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