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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 万葉LOVERSのつどい

審査員を務めたNHK奈良主催の脚本コンテスト「万葉ラブストーリー」募集。選ばれた佳作三本のドラマ完成を記念し、披露試写と授賞式をを兼ねたイベントが開かれた。9月の審査会ぶりに奈良へ。会場の奈良100年ホールの立派さに驚いていると、入口に受賞された女性三人の姿が。受賞の喜びが華やいだ空気となって伝わってくる。

ホールで軽く打ち合わせし、楽屋(初・今井雅子部屋が用意されていた!)でメイキング用インタビュー収録。一人でお弁当は淋しいので、アナウンサーの島田さん安井さんのいる控え室へ。審査員の万葉学者・上野誠先生や受賞の三人も加わり、開演前に打ち解けた雰囲気に。

二時開演。第一部の万葉トークショー。上野先生、島田アナ、安井アナと四人で「万葉・男心・女心」を語る。壇上から見ると、400人収容のホールが半分弱埋まってる感じ。万葉集の宣伝マンを自認する上野先生の軽妙で絶妙なリードで、あっという間に45分。歌の解説は先生におまかせし、わたしは脚本家の視点から自由に話をさせてもらった。感情が動いて歌が生まれ、歌がドラマを喚起し、詠み手の想いが読み手に受け継がれ、万葉の歌は現代を生きるわたしたちに受け渡された。息の長いリレーだ。その最終走者たちが新たなストーリーを紡ぎ、映像にしてしまった。1300年前の作者たちは時空を越えたコラボレーションに驚いているだろう。終盤、「別れ話の時に何を食べるか」という話題がいちばん盛り上がった。上野先生が「脚本を書くときには食べるものも想定するのか」と振ってくださったのだったか、「鍋はラブラブのときしか食べない」「嫌いな相手に鍋奉行されたら余計に腹が立つ」といった話になったが、わたしの意見は「無言の男女の間に煮えくりかえる鍋があれば、二人の気持ちを代弁できる」。夫婦なら、新婚旅行のときに食べたメニューでもいい。妻はよく覚えているが、夫は覚えていない、という心のずれを表現できる。

第二部は授賞式。地元・奈良出身の井筒和幸監督が、駅前にたくさんあった映画館で映画をよく観た、など故郷の思い出話を披露。受賞三作品の脚本を手にした講評に、「あの丸めた持ち方、いかにも読み込んでる感じが出て、プロだなあ」と上野先生は感心。監督には畏れ多くて声をかけられなかったが、上野先生は「伊勢物語の筒井筒の井筒ですか」と話しかけられていた。わたしは自分がNHKのコンクール出身であることを話し、はじめて脚本が形になる感動を次の作品を生む力にしてほしいと励ましつつ、お手柔らかにと締めくくった。それほど受賞作のレベルは高く、わたしが応募したとしても選ばれた自信はない。それでも大賞が選出されなかったのは、傑出した一本がなかったから。ドラマ化しやすいまとまりのある脚本であったが、発想も想定内にまとまっていた感があった。


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12月12日(水)
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