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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 対岸のタクシー
タクシーがなかなか来なくて、反対車線のタクシーを止めることがある。そのタクシーがUターンして回ってくる間に、さっきまで一台も来なかった空車が到着してしまったりする。しかも、こちらが手を挙げているのを見て止まってしまったりして、気まずいことになる。自分の身にふりかかっても間の悪さにどぎまぎしてしまうけれど、同じことが人に起こっていても、あの人どうするかな、とドキドキしてしまう。

今日、保育園に娘のたまを送りに行った帰り、その場面に出くわした。わたしが歩いていた側の歩道に男性が立っている向かいに、ランプをウィンクさせて止まっているタクシーがいた。男性がそのタクシーを止め、乗り込むタイミングをうかがっているのが瞬時に見て取れたが、車の流れが切れず、天の川をはさんで向き合う織姫と彦星のようになっていた。男性の前を何台もの空車が通り過ぎたが、男性はそれらには見向きもしない。義理がたい人だ、とほっとし、せっかくだから男性が乗り込むところまで見届けようじゃないか、となおも見守っていたわたしは、車の波が途切れて車線が空白になった次の瞬間、「あ……」と思わず声を上げた。タクシーがUターンしてくるものと思い込んでいたら、そうではなく、男性が向こう側へ渡ったのだ。だから、こちら側の空車が何台来ようとなびかなかったわけか、と納得し、不意打ちってこういう感覚か、と思い出して楽しくなった。
09月08日(土)
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