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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 英国旅行5日目 ロイズとパブと年越し
■体に良さそうなスープとおいしいフランスパンの朝食で目覚める。イングリッシュ・ブレックファースト続きだったので新鮮。「ロイズに入れるチケットがあるんですが、興味ありますか」とC君。「そうですね。ひょっとしたら、欲しいものが見つかるかもしれないし」とダンナが神妙に言うと、「え? ロイズって保険の取引所」ですよ」とC君。ダンナは宝石屋だと勘違いしていたが、わたしも「レストラン?なわけないか」と思っていた。ロイズでは市場のように各保険会社がブースを出していて、そこで日々保険が売り買いされているそう。損害保険会社に勤めるC君は入管許可証を持っていて、家族や友人を同伴することもできるのだとか。「関係者以外立ち入り禁止」の館内に足を踏み入れ、グランドフロアを見学。アンダーライターと呼ばれる「書類にサインをする人」が待ち受けるブースの間をブローカーが顎を上げ、颯爽と歩き回っている。脇に抱えているのはPCではなく分厚い書類。デジタルではなくアナログなのだ。建物中央のエスカレーターはスケルトンになっていて、黄色い車輪が回っているのが見える。上層階にもブースはあるが、グランドフロアに出店するのがステータスなのだとか。行きかう人々の顔からは誇らしさが感じられ、大晦日だというのに活気に満ちている。ひときわ目を引く祠のようなものには、難破船から引き上げられたという鐘と、それを鳴らすための赤いローブをまとった老番人が佇み、荘厳さと風格を醸し出している。わたしの仕事とは縁遠い空気に包まれたこの場所に招き入れてくれた友人に感謝。
■イギリス紳士たち(最近ではもちろん女性も)はパブで一杯引っ掛けながら仕事を話をする。というわけでロイズのすぐ脇にあるDavyというパブへ。昼休みの11時を過ぎると、たちまち人でいっぱいに。席に着かず、立ち飲みの人がほとんど。今年の仕事納めということで「お疲れ様」の雰囲気が感じられるが、書類を広げて商談を進める紳士の姿も。食事はなかなかおいしく、レバノン料理のhoumosa(?)というヒヨコ豆とにんにくのペーストが最高。タバコと年月でセピア色に染まった壁、積み上げられた樽、ブーブクリコの空き瓶のロウソク立てもいい味を出していて、ノンアルコールでもいい気分。

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12月31日(金)
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