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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ SLばんえつ物語X’masの旅 1日目:山都〜鹿瀬
今年もいろんなことが起こりそうだと思っていたけれど、SLに乗ることは予想していなかった。ご近所仲間のT氏が企画した「SLばんえつ物語X'masに乗る旅」に乗っかり、思いがけなくSLを体験をすることに。

T氏のことは先日「時刻表マニア」と紹介してしまったが、鉄道ファンと呼ぶのがふさわしいらしい。「鉄ちゃん」という呼び方もあるそうで、主流は「撮り鉄」だけど、「私は数少ない『乗り鉄』です」とT氏。電車話が肴の「飲み鉄」、沿道から電車に手を振る「振り鉄」などという応用語も。ではわたしは電車をネタに「書き鉄」になるとするか。

7:18上野発の「とき」に乗り込み、ばんえつ物語号の待つ新潟へ。寝不足がたたって車中爆睡。その横で同行の7人は持参の酒とお猪口で宴会開始。途中「トンネルを抜けると雪国」になったとか、「亀田製菓の近くであられが降った」などとは露知らず新潟着。

ホームには、おおっ、鼻先にリースを飾ったSLばんえつ物語号が。ちらつく雪が黒い車体に映え、にわか「撮り鉄」してしまう。今回は本来牽引するはずだった「C57」(シゴナナ)が直前に体調を崩して回復のめどが立たず、「走行取り止めか!?」とやきもきさせられた。結局、わたしにはより馴染み深い「D51」(デゴイチ)が代役を務めることになり、「CでもDでもEです」と同行者K氏の名言。某代理店のスローガンのようだけど。ちなみにC、Dというのは車輪の数(Cは3、Dは4)を意味するとか。

遅れた電車から乗り換える人を待って、予定より40分ほど遅れて10:20出発。ホワンと汽笛を響かせ、シュッポシュッポと会津若松方面へ。車中ではT氏に「スジ」と呼ばれるダイアグラムの解説を受ける。縦軸に走行距離、横軸に所要時間を取り、線でつなげたもので、「スジが立っている」ほどスピードは速いことになる。逆は「スジが寝ている」。転じて「あそこの窓口はスジが寝てる(作業が遅い)」といった使われ方もあるとか。ダンナに言われないように気をつけねば。

窓の外は一面の銀世界。昨夜降ったばかりの深雪なので白がきれい。ガタンゴトンという心地よい揺れを楽しみながら、雪見酒。途中、停車しないはずの駅で一時停止すると、ホームでT氏の鉄仲間がこごえていた。シャッターチャンスを狙って待ち構えている撮り鉄さんには、到着の遅れはこたえたのでは。デゴイチは挽回する素振りも見せず、黙々と(そしてモクモクと)自分のペースで走り続ける。

プレゼント大会(賞品は特製のピンバッチ、カレンダー、クリアファイル)、サンタによる風船大道芸、記念乗車証と絵葉書の配布などあり、乗客を飽きさせない。これで通常料金なのだから、指定席があっという間に売り切れたのも納得。8人分の座席をおさえたT氏、乗り鉄の面目躍如といったところ。

1時間遅れで「そばの里」山都(やまと)着。予約しておいた地元の山都タクシーが待っていてくれた。「駅で10分(この日は7分)停車する間に先回りして、鉄橋を渡るところを撮ろう」というT氏のスペシャル企画で、急いで鉄橋下へ乗り付け、自分達が乗ってきたばんえつ物語号を撮る。雪、川、鉄橋、SL、煙、なんとも絵になる。タクシーは鉄橋を後にし、そば屋が13軒連なる「宮古」へ。眉はないけど笑いのセンスはある運転手さん、「ここが国道かってとこ走ってんだべさ」とお国言葉で突っ込みを入れながらのドライブ。


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12月20日(土)
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