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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 堺市立新浅香山小学校で「堺ゆめ授業 ようこそ堺の先輩」
4時間目は6年1組、5時間目は6年2組で授業。「人間が滅びた世界」というSF風設定や、刑事物設定など、高学年らしい広がりがあった。「さるが背負っている帽子は倒れているかえるから奪ったもので、それを仲間のかえるが取り返そうと追いかけている」というドラマを考えたグループは、即興の芝居で「かえるくん、待ってろよ。必ず取り返すからな」と熱い友情のセリフを披露。
4限目と5限目の間の給食は、ロの字型に机を並べた6年1組にまじって。ともに読書家で伊坂幸太郎を読んでいるのが共通点の東山さんと中山君の間に。
「このクラスには東西南北そろってるねん」「あの子はナルシストのナルシンノスケ」……とクラスメイトを紹介してくれた東山さん。今読んでいる本を見せてくれたり、家族のこともたくさん話してくれたりして、彼女のことにかなり詳しくなった。彼女は授業のときに「こういうのだけは得意」と言っていて、「今回みたいに、絵にストーリーをつける形じゃなくて、何もないところからオリジナルを発想するのはどうするのか」と、とてもいい質問をしてくれた。どんなものを書くんだろうと続きが知りたくなる子だった。
司馬遼太郎を読んでいるのが渋い中山聡太くんは、「無茶なお願いやけど……」と自分の名前を脚本に使ってと遠慮がちに。名前覚えとくね。
児童劇団に行っていて、演じるのが楽しい、と目をきらきらさせて話してくれた女の子。いつかわたしの作品に出てくれたらうれしい。「なあなあ先生」といろんな子がひっきりなしに話しかけてきてくれて、みんなかわいかった。「あの子たちどうしてるかな」と気になる子たちが何十人もできた。
授業の間の休み時間は、持って行った脚本を手に取り、「こんな風になってるんや」と興味深そうに見てくれた。
5時間目が始まる前の休憩時間には、5年生の男の子と女の子が「豊かな言葉の使い手になるために」というテーマで取材してくれた。「豊かな言葉って、どんな言葉だと思いますか?」と聞かれ、「どう思う?」と逆質問すると「やさしい言葉」と思いがけない返事。豊かな食べものはおなかを満たす、豊かな言葉は心を満たす。取材は、眠っている石ころをみがいてくれる。
給食の時間に呼びに来てくれた男の子は「評判って気になりますか?」とこれまたいい質問をしてくれた。

6時間目のクラブ活動の間は校長室で休憩し、購入していただいた本にサイン。放課後の7時間目は先生方と。徳永先生の熱心さに引っ張られているのか、先生方も目と声に力のある方が多くて、頼もしい。今日の授業を振り返った後、「朝起きたらしっぽが生えていたら?」と「赤ずきんはなぜ一人で森へ行った?」のグループワーク。「(しっぽが生えたら)とりあえず休みを取る」「医者へ行く」などと先生方は現実的。小学生からはどんな答えが飛び出すか、見てみたい。
今日の授業は「堺ゆめ授業 ようこそ堺の先輩」という堺市のプロジェクトの第一号とのこと。学校の先生には向いていないと言われたわたしにとっても、夢がかなった一日。やっぱり、わたしが誰よりも楽しんでしまった。
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09月24日(水)
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