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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 「やわらかい生活」裁判を考える会
これもまた、信頼ありきか、疑心暗鬼かで、こじれ具合は違ってくる。
衝突をしなやかに受け止める緩衝剤の役割を果たすのは、相手への敬意や信頼であり、それをうまく取り持つのがプロデューサーということだろうか。
原作者と脚本家も、脚本家と監督も「やわらかい関係」でありたい。
裁判に持ち込まざるを得なかった荒井さんの苦悩ははかり知れないが、そのおかげで、わたしたちは著作権者の権利について立ち止まり、考える機会を得た。
「原作もの流行りで脚本家が脚色屋になり下がっている」という声もあったけれど、「原作もの」でないと映像化しにくいと嘆くのではなく、面白いオリジナルを書いて、脚本が原作の本を出版する逆転現象を起こせばいいじゃないかーという雄叫びも聞かれた。そんな「映画・ドラマ業界を取り巻く現状」への問題提起もあり、とても実りのあるシンポジウムだった。
『原作と同じじゃなきゃダメですか?』が出版されました。
《映画『やわらかい生活』脚本の「年鑑代表シナリオ集」への原作者による収録・出版拒否事件 全記録》の副題でシナリオ作家協会が刊行。送料込み1890円で申し込みはシナリオ作家協会へ。「当協会ではこの裁判の結果を記録に残し、また映画・テレビ製作における、脚本家と原作者の関係性やあり方について、映画・テレビ業界に従事する人々はもちろんのこと、観客・視聴者すべての人々に、深く考えていただきたいと願い、本書を刊行いたしました」とのこと。この事件について、シナリオ作家協会が脚本家にアンケートを実施したのだけど、わたしは提出しそびれてしまった。百人の脚本家がいたら、百通りの原作の解釈があるように、「原作者と脚本家の関係」について思うことも一人一人の色があり、とても興味深い。この本に参加する機会を逸したことを残念に思いつつ、この日の日記を、出しそびれたアンケートの回答に替えたい。(2013/6/12追記)
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07月21日(土)
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