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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 御伽話な法螺話が気持ちいい『フィッシュストーリー』
タイトルのフィッシュストーリーとは、法螺話のこと。「逃した魚はでかかった」と釣り人の話は大きくなりがち、というのが語源らしい。その連想もあって、ティム・バートン監督の『ビッグフィッシュ』を観終えたときの何ともいえない幸せな気持ちも思い出した。自分たちの曲はきっと売れないとわかりつつも、もしかしたら誰かの心に届いて、その人生を変えて、何年か後に人類を救うかもしれない。そんな法螺話のような未来を語るバンドメンバーが愛おしい。その「ありえない未来」が映画という嘘の中でかなったとき、人生バンザイな気持ちになった。めぐりめぐって、まわりまわって、何が起こるかわからない。だから、人生はやめられないし、明日が今日より楽しみになる。彗星が地球に衝突する直前の地球を舞台に、法螺話で御伽話をこしらえてしまう伊坂幸太郎氏にもあらためて感心した。

ところで、彗星が地球にぶつかって人類滅亡の危機といえば、わたしが一晩に二度読むほど惚れた『終末のフール』を連想させる。調べてみると、原作『フィッシュストーリー』は、後に単行本『終末のフール』に納められる連作短編を小説すばるに連載していた終盤、「演劇のオール」(2005年8月号)と「深海のポール」(2005年11月号)の間、2005年10月号の小説新潮に掲載されている。単行本『フィッシュストーリー』には他に4編が所収されているから、原作は短編らしい。ぜひ近いうちに読まなくては。『終末のフール』も中村義洋監督なら映像化できるかも。

04月02日(木)
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