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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ ブラボー!『蘇る玉虫厨子〜時空を超えた技の継承〜』
『平成職人の挑戦』を観たときは、職人たちのかっこ良さに目が行ってしまったが、今回は飛鳥の時代の職人たちと心の対話をする職人たちの姿に、この国に流れる歴史の重みを感じ、自分が生きている今と千三百年前はつながっているのだ、という事実に心を揺さぶられた。千三百年前に造られたものを再現できるということは、その技術が今日まで受け継がれているということである。人の手を介してしか伝えることができない匠の技というリレーのバトンを、何百組もの師匠と弟子が大切に、大切に引き渡してきたということである。そのことにわたしは途轍もなく感動した。

アメリカに留学した16歳のわたしに、この映画のビデオを送りつけてやりたい。「日本の伝統文化のすばらしさを伝えましょう」とオリエンテーションで指導されても、「伝統ったって、着物を着て生活しているわけでもないし、神社仏閣は遠足で行くぐらいだし」とピンと来なかったわたしの目を覚まさせてやりたい。

「宝物は自分の中にある。それを宝の持ちぐされにするのも宝の山にするのも、自分次第」ということを伝えたくて、わたしは『ブレーン・ストーミング・ティーン』という本を書いたのだけど、「自分」を「この国」に置き換えることもできる。愛国心も母国への誇りも、自分の国が持っている宝物に気づけば、自然と湧き上がってくる。その宝物を輝かせるのも錆びつかせるのも、この国のありよう次第。伝統は「古くからある」のではなく、「古くから伝えられてきた」のであり、伝える人がいなければ、それは途中で消えてしまうのだ。

平成の職人たちに伝統という日本の宝を磨く機会を与えたのは、国でもなく大企業でもなく中田金太さんという一個人だった。その金太さんは平成職人たちの手になる二台の玉虫厨子の完成を見ることなく、亡くなってしまった。『風の絨毯』以来、金太さんと親交を深めてきた益田さん、乾監督、三國さんの思い入れも込められたこの作品、金太さんと秀子夫人と何度か食事を共にし、金太さんの半生を綴った本『わしゃ、世界の金太! 平成の大成功者と五人の父』の執筆にも関わった(>>>2006年09月29日(金) 金太本、ついに出版。)わたしにとっても、金太さんを振り返るよすがとなりそう。千年後の人々を驚かせる玉虫厨子とともに、平成の世に生きた中田金太という大旦那の志が生き続けることを祈りたい。

遺品となった玉虫厨子の一台、復元版は法隆寺に奉納され、もう一台の平成版は平成の祭屋台が公開されている「高山まつりの森ミュージアム」に納められるが、6月30日まで開催の法隆寺秘宝展にて飛鳥版の玉虫厨子とともに三台並んだ姿を見られるとのこと。そして、当初は劇場公開を予定していなかった映画は、3月1日に法隆寺で行われた記念上映の反響で、劇場での上映が続々と決定。くわしくは平成プロジェクトのサイトにて。この作品を広げることも、日本の宝を次の時代へ引き継ぐ一助になると思う。

03月27日(木)
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