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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 『ドルフィンブルー』と『ヘレンケラーを知っていますか』
距離にして数百メートル移動して、午後は銀座シネパトスにて『ヘレンケラーを知っていますか』。「実在の人物をもとにふくらませた作品」だと新聞で紹介されていて、興味を持った。うろ覚えなのだが、母親と暮らしていた中途盲聾障害者の女性が、母親の死によって、山奥に隔離され、不自由な暮らしを余儀なくされたというようなことが書かれていた。その女性の境遇を知った怒りが作品の出発点なのだという。小林綾子さんが一人で十代から78歳までを演じるヒロインにはモデルがいるわけだ。どこまでが実話に基づいているかはわからないが、実在の人物の半生を見るつもりで作品を観た。目も見えず耳も聞こえない人生がどういうものか、想像で推し量るしかないけれど、まわりに人がいて、何かが起こっていても、自分に触れてもらえなければ蚊帳の外に置いてけぼりになる。「わたしの孤独がわかりますか」と教室で先生やクラスメートに訴える主人公の叫びが、胸に突き刺さった。
盲聾者のために「触手話」なるものがあることも初めて知った。相手の手話を触って確かめる。触れた手から伝わるものは意味だけではないだろう。わたしは小学校六年生の必修クラブで手話を習ったのだけど、四半世紀前に週に一度かじっただけなのに、劇中で使われた手話のほとんどに覚えがあった。体で覚えた記憶は深く刻みつけられるのだろうか。あらためて手話を学んでみたい気持ちになった。上映後にはロビーで熱く手話で語り合う聾唖者グループの姿があった。この作品に限らず、字幕つき上映が広がれば、当たり前の光景になるのだろう。
04月12日(木)
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