ID:93827
脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
[787544hit]

■ 夢のお告げ!? 小さな鳥の物語
 うつむきがちだった会社員が空を見上げると、次から次へと羽が落ちてくるのが見えました。ひとつ手に取るたびに、会社員は何かに気づき、ひらめき、希望や勇気が湧いてきました。
 足取りの軽くなった会社員は、自分の欲しい羽をどんどん手に取り、集めていきました。すると、どうでしょう。背中に翼が生えてきました。自分の思いのままに進む力を手に入れたのです。
 翼をはためかせ、会社員はコウノトリの里まで飛んでいきました。

 遠く離れた恋人同士は、喧嘩の電話を切った後、それぞれの住む町の空を見上げ、ひらひらと舞い降りてくる羽に目を留めました。
 羽を手にした二人は、どちらからともなく仲直りの電話をしました。結婚式の計画が再開したようです。電話をしながら、二人はひとつ、またひとつ、羽を集めていきます。話が弾んで、とても楽しそうです。
 若い二人には、自分たちの家で将来レストランを開きたい、という夢がありました。でも、広い土地を買うゆとりはありません。
 そのとき、落ちてきた羽を手に取った二人の頭の中に、緑に囲まれた一軒家が思い浮かびました。
 都会の真ん中じゃなくて、電車に何時間か揺られた先なら、大きなレストランも夢ではない、と二人は気づいたのです。空気と水のきれいな場所なら、自家製のおいしい野菜を看板料理にできるかもしれません。
 微笑む二人の背中に、天使のような翼が生えてきました。距離を乗り越えて夢をかなえる力を二人は味方にしたようです。

 ベビーベッドのそばでため息をついていたお母さんは、窓から部屋に舞い込んだ羽を手に取りました。外の世界へと誘いかける手紙のようでした。子どもが生まれるまでは大きな会社で朝から晩まで働き通しでしたが、赤ちゃんがくれたこの時間を使って、何かしてみよう、という気持ちが湧いてきました。
 ずっと前から興味のあったファッションの勉強をしてみたい。そう思ったとき、別な羽が風に運ばれてきました。羽を手に取ると、ひとまわり若い学生たちと並んで授業を受けている自分の姿が目に浮かびました。安心して赤ちゃんを預けられるところも、子育てをするお母さんたちが意見を交わせる場所も、ちゃんとありますよと羽は教えてくれました。
 なんだ、その気になればいろんなことができるんだ、とお母さんはうれしくなりました。一日中家に閉じ込められていると思っていたけれど、自分で自分の翼を押し込めていたようです。大きく深呼吸すると、ぐーんと翼が伸びました。

 空高くからこの様子を見ていた鳥は、たいへん喜びました。自分の思いを託した羽が、誰かをちょっぴり豊かにしたのです。会うことはなくても、どこかの誰かの幸せな生活と関わっている、そう思うと、ほこらしい気持ちでいっぱいになるのでした。
 おや、ひとまわり、体が大きくなったようです。 

01月17日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る