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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ 丸善おはなし会→就職課取材→シナリオ講座修了式
ご近所仲間のK家の0歳児まゆたんからは花束贈呈のサプライズ。丸善さんからも春色の花束をいただく。さらに、ハヤシライスとカレーライスの詰め合わせ『新厨房楽』も。ハヤシライスの生みの親は、日本初の株式会社・丸善創業者の早矢仕有的氏なのだそう。副店長さんからは店作りのコンセプトの興味深いお話もうかがえ、今度は客としてゆっくり訪ねてみたいと思った。そのときは書店の一角にあるエムシー・カフェでハヤシライスを食べよう。

場所を銀座の就職課オフィスに移し、ゲオ@チャンネル用のインタビューを収録。学生記者さんたちの質問に雑談のノリで答えながら「子ぎつねヘレン脚本に込めた思い」「脚本の書き方」などについて一時間半ほど話す。脚本の書き方については「書くルールは月刊ドラマや月刊シナリオを読めば覚えられるけど、大事なのは発想法と世界観」といった話をする。ただ原稿用紙を埋めるんじゃなくて、ト書きの1行、セリフの1行で世界観や人物像が見えるように書くことが大事。たとえば、主人公がお茶を飲む仕草ひとつ、クッキーの食べ方ひとつ取っても、性格を表すことができる……と実演しながら説明。

何を書くか、どうやったらシナリオが面白くなるか、は頭の中をひっかきまわして一人ブレスト。たとえば……と、「雑誌発想法」を使って、雑誌のページをめくりながら、出たとこ勝負で「この三人が強盗だったら」などとストーリーを作っていくのを実演すると、「へーえ」と面白がってくれる。「頭をやわらかくしておくことは、脚本家だけじゃなくて、どんな職業にも役立ちますよ」と話す。脚本家になってわかったのは、「人生、どんなことも無駄じゃない」ということ。出会いや体験を宝の山にするか宝の持ちぐされにするか、毎日を楽しくするかつまらなくするか、それは自分の気の持ちよう。第一志望の会社に就職できない人も多いだろうけれど、その仕事からも学べることはあるはずだし、与えられた環境が人生を決めると思うと窮屈だけど、今ある環境で何ができるかと考えれば、自分が主導権を握れる……といった話は、就職で人生の勝ち負けが決まると思いがちな学生さんたちには新鮮だったよう。

自分のやりたいこと、夢や目標を持ち続けていれば、情報や出会いがアンテナに引っかかってきて、着実にそこへ近づいていける。美大に行きたいと思ったけれど断念したものの、広告会社に就職してデザインに関わる機会に恵まれた。書くことが好きで書き続けていたら脚本家になれて、絵本を出したい夢も叶った。教職を取ったものの教師の道には進まなかったけれど、シナリオを教える仕事がめぐってきた。今すぐじゃないかもしれないけど、夢は、遠回りしても、見失わなければ、いつかたどりつける。

赤坂のシナリオ会館に移動して、シナリオ講座修了式。3週間に一度、半年間の講師は、毎回とても刺激的な時間だった。シナリオを教えながら、わたしも学び直すことが多かった。教え子の生徒たちにも「書き続けていれば、道はひらける」と話す。

03月25日(土)
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