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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ シナトレ5 プロデューサーと二人三脚
さらに、テレビドラマではなく映画ということも念頭に置いて考えると、全体的にこじんまりとまとまっている気がします。テレビなら、このくらいの規模で十分楽しめると思いますが、映画となると、お金払って見に行くわけで…。だとすると、もう1つ2つ、なにかエッセンスのようなものが加わるか、「一方、長尾製薬では」みたいな話が同時進行するかしたほうがいいかもしれない。シナリオ自体の厚みがもう少しあると映画的には良いのかなと思ったりします。

でも題材はとてもオモシロイ。下敷きはきっと突然変異だったりするのでしょうが、私が好きな突然変異物の作品は、ジョン・トラボルタの「フェノミナン」。コマーシャルでは愛と感動の物語みたいに宣伝されてましたが、まあその部分もあったけど、ジョン・トラボルタ扮する37才の平凡な男が、誕生日の夜、夜空に不思議な光を目撃した瞬間から知性が異常なまでに研ぎ澄まされ、天才になってしまうというお話。ここでオモシロイと思ったのは、夜空に光る星を見た瞬間の映像により、「あら、この話ってSFなの?」と思わせといて、次に子持ちのバツイチ女が現れる。「ハハァ、やっぱ愛情ものなんだ」と思っていると医者が出てきて「脳に腫瘍がある」と言う。「おやおや、病院ものですかぁ?」と思わせながらも涙あり笑いありで結構内容が七変化するところがオモシロかったなあ。そんなにブレイクしなかった映画でしたが。機会があったら見てください。

とにかく勝手言いたい放題でごめんね。でも感想文て面白いよね。自慢なんだけど、小学校5年生のとき、夏休み読書感想文コンクールで、あたしゃ千葉県大会銀賞受賞したことあるんです。それ以降、アホの道を転がり落ちるようにたどり、今に至るわけなんだけど。だから今井ちゃんのように文才のある人が側にいると、とても感化されます。私も再び書いてみようと思ったりするんです。また何かあったらいつでも協力します。
という原稿用紙にびっしり手書きの「感想文」に続いて、わたしが預けておいた原稿にポストイットがペタペタ貼られ、「『しっぽが数本落ちている』というのは、『しっぽの毛が数本落ちている』の間違いでは?」などと細かく指摘が入り、登場人物表にはイメージキャストまで書き込まれていた。

海外出張から戻ってアサミちゃんからの封書を開いたわたしは、「こりゃ全面的に書き直しだ!」となる。一日遅く勘違いしていた函館港イルミナシオン映画祭シナリオコンクールの応募締切り日は、なんとその帰国当日。24時ぎりぎりまでワープロに向かい、走って五分の郵便局に「今日の消印で!」と滑り込んだ。アサミちゃんの励ましがあったからこそのラストスパートは、準グランプリという結果につながった。アサミちゃんのアドバイスを受けずに応募していたら一次選考で落ち、審査員のじんのひろあきさんの手元に応募原稿が届くこともなく、前田哲監督の目に留まって映画化されることもなかったかもしれない。『ぱこだて人』だったタイトルは監督とプロデューサーの意向で『パコダテ人』とカタカナ表記になるが、感想文の時点で「パコダテ人」と表記していたアサミちゃんには先見の明もあった。今思えば、デビュー前にプロデューサーがついていたようなもの。持つべきものはご意見番、そして、その声を直しにつなげる意志と腕。

◆2005年11月01日(火) シナトレ4 言葉遊びで頭の体操
◆2005年10月12日(水)  シナトレ3 盾となり剣となる言葉の力
◆2005年7月27日(水) シナトレ2 頭の中にテープレコーダーを
◆2004年9月6日(月) シナトレ1 採点競技にぶっつけ本番?

03月02日(木)
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