ID:93827
脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
[787464hit]
■ ミヤケマイ個展 MAI MIYAKE EXHIBITION2003
この曲はタイトルどおりの内容である。この曲を聴くと私はいつも源氏物語の中で源氏が舟で春をひさぎにくる女達をみて、あれは売り物の愛だと源氏が教える一節を思い出す。ビリーホリデイあたりが歌うと「ちょっとよごれちゃいるけど、まだ売りもの私の愛を買う気はない?」と脱力系のコケットな感じで誘う、諦め中に薄く漂う希望がだからこそ、どこかはすっぱを通り越して切ない感じがする。ジャズの歌詞は悲しかったり、切なかったりがするものが多いが、酸いも甘いも、花も嵐も踏み越えた人間だけが持つ、優しさやがいつも行間に漂っているところに惹かれる、絶望的に見える恋や人生に翻弄されているようでいて、どこか動物としての生命力や土くささ、女の持つ原始的な強さがあるような気がして、私は安心して身を委ねてしまう。暖かい部屋の臭い、お正月晴れの高い青い空、まどろみかけた時に聞く遠くのやかんの蒸気のコトコト、高速道路に登る朝日、夏の終わりの虫の声、みんな私の知ってるジャズに似てる。どこか懐かしいのに鮮明な、子供の日の思い出のようである。それはどこか春にも似ている、春は地中深く眠っている冬を越せなかったもの達の楽しかった思い出が雪解けと共に地上に現れ、みせる幻想のような気がする。桜の花だけが人を酔わせるのもみなそのせいに違いない。子供の頃から古い歌ジャスばかりに反応していた女の子が大きくなり昔聞いた歌に捧げる個展である。
02月12日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る