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脚本家・今井雅子の日記
by いまいまさこ
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■ パコダテ人ロケ4 キーワード:涙
涙のちゅらさん ■「一時にロビーで待ち合わせ」と約束したのに、加藤さんが現れない。電話しようかと思っていたら、加藤「(駆け寄り)ごめんなさーい。ちゅらさん見てまして」 わたし「ちゅらさん見たの? ずるい!」 加藤「泣いちゃいましたよ。まりあさんが、やってくれました」 わたし「うわー。悔しい」 加藤「てっきり皆さんも見てから来ると思ってました」 小山「私は五分前に来てました」 わたし「わたしは部屋にテレビがないんです」 タクシーに乗り込み、五稜郭をめざす。その正面にうまいラーメン屋があるという。感涙の塩ラーメン ■ラーメンはめったに食べない(新横浜のラーメン博物館は例外)が、ご当地ものには弱いので、「地元住人も絶賛」というラーメン屋『あじさい』へ。塩ラーメン六百円を注文する。スープがぐいぐい飲める。通ではないが、これはウマイと断言していいと思う。窓からはラッキーピエロ五稜郭店が見える。これまでチャイニーズチキンバーガーを食べずして函館を去ることはなかったのだが、今回は前例を破ってしまうかもしれない。この後はイクラ丼を食さなくてはならないのだ。悔し涙のイクラ丼 ■タクシーで次にめざすは朝市。運転手さんに「どこかおいしいお店ありますか」と聞くと、「こだわりの店だから黙って食えって言われてもねー。自分だけこだわってても誰も食べないよ」。ごもっとも。立待岬のほうにある『源』というラーメン屋はうまいとのこと。わたし「朝市に、わたしがイクラを食べられるようになったお店があるんだけど……」 小山「なんてお店ですか?」 わたし「何だっけなー。ジュディマリのサインがあった」 加藤「それは難易度高いですね」 わたし「『き』で始まったような……」 運転手「きくよ食堂じゃないですか?」 わたし「あ、それ、それ!」 タクシーを降り、きくよ食堂を探すと、あった! あろうことか、まさに店じまい中。鍵をかけたおばちゃんが「ごめんね。二時までなの。明日来て」。それは厳しい気がする。明日の朝、函館を発つのだ。仕方なく別の店へ。そこのウニ・イクラ丼もそれなりにおいしかったが、きくよ食堂で食べたときの雷に打たれたような感覚は味わえなかった。店が違うせいなのか、舌が肥えてしまったからなのか、確かめられなかったのが悔しい。涙の発売中止小山さんは「ロケバスが出る前に戻らなくては」と、ひと足お先にホテルへ。タレントさんの体調や顔色をちゃんと確かめたいというマネージャー魂。わたしは見物に来ているけれど、彼女は仕事に来ているのだった。写真集を撮っている加藤さんも然りだが、撮影前に大正湯入りすればいいというので、ひき続きオフをご一緒することに。ジャケットにピンクのパコダテールを引っ掛けて歩くと、「しっぽ?」という視線を感じる。大好きな西波止場に着き、函館ヒストリープラザへ。パコダテールのようなシッポが売られているのを発見してはしゃぐ。フェリシモ郵便局でユメール君はがき(ポストの形をしたキャラクターの変形はがき)を買って送ろうとしたら、発売中止になっていた。『昭和七十三年七月三日』で大事な小道具として登場しているのに……書き直さねば。かわりに隣接の雑貨屋でクリスマス用ポストカードを買う。涙のバナナシェイク  ■なんでも「涙」をつければいいというものではないが、なにげなく注文したバナナシェイクが思いがけなくおいしかった。カードを「どっかお店に入って書きませんか」という加藤さんの提案で、『カリフォルニア・ベイビー』に来ていた。『いつかギラギラする日』のロケ地になり、映画の中で派手に燃えていた店だ。気になっていたが、入るのははじめてだった。「おなかいっぱいで眠くなってきたので、コーヒーでも飲みましょう」と言っていたのに、なぜかバナナシェイクをグビグビ飲んでいるむわたしを、加藤さんは不思議そうに見ていた。それぞれの大切な人たちに手紙を書き、フェリシモ郵便局に戻って『クリスマスポスト』に投函。このポストに託された郵便は、クリスマスの季節に届けられる。三か月先のことはわからないけど、確実に起こる小さな事件は、今日函館で書いたクリスマスカードを五人のひとたちが受け取ること。

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09月26日(水)
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