ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
[1062517hit]
■ 椅子の記憶史 〜 memory history of chairs 〜
┌─────────┐
│
│ adlib/20221118
│
│ http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=20221118
│ http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/list?id=87518&pg=000000
│ https://tx696ditjpdl.blog.fc2.com/?q=00000000
│
│ https://awalibrary.blog.ss-blog.jp/
│ https://booklog.jp/users/awalibrary/
│ https://q.hatena.ne.jp/adlib/
│
│ https://twilog.org/awalibrary
│ https://twitter.com/awalibrary
│ https://www.facebook.com/masatoshi.awa
│
└─────────┘
椅子の記憶史 〜 memory history of chairs 〜
〔〕
数年前、とくに手術後、パソコンに向って椅子に掛ける時間が増え、
いいかげんに間に合わせてきた椅子に、いくつかの不具合が生じた。
条件が難しいので迷ってきたが、ついに決心して通販で購入する。
生涯最後の椅子。梱包を開いて、すぐに組立てる気になれなかった。
なにか、気がすすまないまま、二日目に、この憂鬱な気分から逃れる
ため、環境をかえるため、あたらしい椅子の組立てに取り組んだ。
まずは、取扱説明書の図面に、不吉な予感がした。遠近法が不自然で、
椅子と図面のデザイナーが、互いにそっぽを向いているように直感する。
実際の組立に、三時間ちかく要した。これにはもう、話にならない。
ひとことで言えば、思想の違いである。中国人特有の手法か、真綿で
首を絞めるような手順で、率直でない。三ヵ所のネジを締めるために、
まず真ん中を仮締めしてから、後の二ヵ所を囲むように本締めしてみる。
たしかに締まりはよいが、これは玄人の職人技に属するもので、素人
のユーザーが、とくに女性には不可能なはずだ。こうして、三時間もの
悪戦苦闘を経て、ようやく腰を降すと、がっかりするような掛心地だ。
この落胆は、作業中から予想されたもので、最後の“ネジ隠し”には
心の奥底から怒りがこみあげた。あきらかに外観を繕っているのだ。
大塚家具の娘が、一ツ橋で経営学を学んで、夜間中学しか出ていない
父の家具屋を、一代かぎりで。潰してしまった。彼女は、こども時代に
工場に出入りせず、職人たちに学ばなかったのだろう。
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=20220218
かぐや姫その後 〜 Epilogue of Princess Kaguya 〜
職人芸とか職人気質は、いわくいいがたい美意識がもとにあり、屋根
の“そり”や、毛筆の“はね”のような手法に象徴されるはずだ。
というようなことを、三時間も考えつづけた。
購入者コメントの30分は、あきらかにウソだろう。むしろ30分も
かかることに問題がある。はたして3時間もかかっては論外だ。
与太郎は一応、武蔵野美術学校工芸デザインコースに合格している。
当時は、量産家具のデザインを目指していて、流行前に三段ボックス
を試作している。義従兄にあたる宮越 正夫が、修行時代に、心をこめて
完成してくれた、与太郎にとっても処女作だった。
晩年の与太郎は、ワープロからパソコンへの進化につれて、はじめは
炬燵に座椅子だったが、やがて両肘の椅子に戻った。
小学校二年の病臥で、寝ながらの読書に慣れ、回復後は勉強机に腰掛
椅子、中学と高校では、本棚との組み合わせで、恵まれて育った。
三十代でレコード屋に転業した折、丸善で選んだ椅子二脚と両袖机は、
自尊心を満足させ、とくに税理士が勝手に金を置いて、椅子一脚を持ち
帰ったほどの逸品だった。
岡山時代のオフィスでは、経理アシスタントが、個人的にプレゼント
してくれた両肘椅子を、長期間(1975-1999)愛用していた。
バッハの無伴奏より先に、百フ(金谷家蔵書)を読んでいた。
── 内田 百フ《無伴奏・禁客寺 1953‥‥ 三笠書房》
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4010613602
[5]続きを読む
11月18日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る