ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
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■ 夢の独演会 〜 トーク&チェロ・リサイタル 〜
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20180811
[f:id:adlib:20150214164447j:image:w480]
 Ex libris Web Library;NEO BAROQUE 〜 Edited by Awa Library 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19671031
 
 亡父は、還暦前後の日記に、しばしば眠くなると記している。
 晩年の杉井先生も、教え子三人で表敬しようとしたら、奥様のいわく、
うつらうつらされることが多くなったとかで、訪問を断念した。
 
〔1〕
 
 先月は、耳鼻科の定期診療で、担当医の他に(おそらく部長直診)が
あったので訊いてみた。「一年前の初診で(担当医に)食後すぐに横に
なりませんか、と問われ、そのときは、ありませんと答えました」
 
「しかし、その後、しばしば食後すぐに横になるようになったのですが、
この症状は、たんなる老化現象ですか、それとも深刻な症例ですか」
 居合わせた看護師など数人が、部長の回答に関心を抱いたようだ。
 
 そこで部長は「たしか老化現象でもあり、ときに深刻な可能性もあり、
かといって、いますぐ対処すべき事態とは言えない」と診断された。
 喉にポリープが存在するが、いそいで除去すべき緊急性はないそうだ。
 
 そこで患者は「先年、尿路結石の手術は成功し、局部の治療によって
全身の老化が進んだように思えるので、眼科の手術も猶予しています。
ポリープも、できれば数ヶ月ごとの検診で、慎重にしたい」と述べる。
 
 さいごに、ロングトーンの発声テストで「今日より前回が良かった」
と自己採点し「今日は生年月日を聞かれなかったが、実は英語で答える
つもりだった」とオチをつけ、一同わらってくれた。
 
〔2〕
 
 ついさっき、風呂から出て、そのまま布団に入って転寝してしまった。
 邦彦くんが訪ねて来たので、いそいで妻に食事の用意を命じる。
 そのあとドライブを兼ねて、近傍を案内しようとして、車はどこか?
 
 永らくエンジンもかけずに、近くの空地に置いてあるはずだが……。
 いやまてよ、十年以上前から免許証を更新せず、事実上の返納状態だ。
 白内障と緑内障が進行して、手術しないまま十年ちかく経っている。
 
 これらの現実認識が、ばらばらになっているのに気づかず生きている。
 プロフェッサー・山本くんは、プロデューサー・竹内くん亡きあと、
数少ない知識人であり、老いたる文学少年である。
 
 ルソーからプルーストに至る、与太郎の質問に、よどみなく応対して
くれる最後の一人にちがいない。たとえ夢の中でも再会できたのだから、
せめて電話ででも語りあいたいものだ。
 
〔3〕
 
 むかし、十字屋の大幡くんが、部下の女性を連れて、訪ねてきた。
 当時レコード店の半分を喫茶店に改造したばかりで、その日は休業日
だったので、ひとしきり与太郎の独演会が始まった。
 
…… 後日、大幡君は「あない弾かはるとは思いませんでしたな」と、
例によって微妙な口ぶりだったが、額面どおりに受けとっておこう。
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20030829
 無伴奏 〜 与太郎のチェロ・リサイタル 〜
 
── フォワシィ/山本 邦彦・訳《チェロを弾く女 19921030 新水社》
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4915165515
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 Foissy, Guy 作家 19320612 Senegal France /
 チェロを弾く女優たち 〜 ダリュー、ヘップバーン、ヘイズ 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19951228《映画100年表》解題
 
 これがもし「チェロを弾く男」だったら、読者も売上も立読みも半減
するはずだ。足を拡げた女のチェリストは、男心をつかんで離さない。
 ただし、かならずしも作家が、チェロに詳しいとは限らない。
 
 役者も、乗馬や車の運転ができなければ、絵にならない。
 映画《帰らざる河》のポスターで、ギターを抱えたモンローのポーズ
は堂々たるもので、昨日今日の真似事では、こうはいかないのだ。
 
 というような我田引水で、謹直なる仏文教授に、一席ぶつのは楽しい。

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08月11日(土)
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