ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
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■ 玄人衆 vs 素人衆 〜 八卦よからず 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20100703
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/list?id=87518&pg=000000
http://www.enpitu.ne.jp/tool/edit.html
Ex libris Web Library;黒い電話
0.まわりくどい人々
角界の不祥事は、知ろうとしても、素人衆の手に負えない。
親方Oが、大関Kの名義を借りて、電話トバクに関わったという。
数千万も負けが込んでいたが、珍しく500万勝ったそうだ。
負けた分を払わず、勝った分だけ受取るため、元力士Fに委任した。
Fは元暴力団員(弟は現役力士)で、テレビ出演後に逮捕された。
元大関Cも「払ってやれよ」と口添えしたという。
親方Oも、テレビで「若い衆には将来がある」と泣きながら語った。
四人も男の子がいるのに、離婚して、世間にお詫びするという。
岳父は、角界を象徴する存在で、すぐに代りの親方を指名したそうだ。
角界が、これほど暴力団に汚染されているなら、他の業界にも被害者
がいるはずだ。ヤミトバクの会員名簿は、アッと驚く顔ぶれのはずだ。
こんなにまわりくどいからには、よほどの事情があるのだろう。
1.閑居を阻む人々
若いころの与太郎は、多くの人々に紹介されたり、知合ったりしたが、
誰からもヒマそうに見えたらしい。図面を引いたり、文章を書いた経験
のない人たちは、ヒマつぶしの作業だと信じているフシがある。
さらに考察すると、多くの人々は、いつも誰かに追われながら働いて
いるのに、与太郎は誰からも命令されず、もとより注文に追われている
わけではない。注文がなくても、なにかしら仕事しているのだが……。
あるとき、店舗改装の見積を依頼したのがきっかけで、内装会社々長
と知合った。毎日のように車で迎えにきて、あちこちの工事現場に案内
され、喫茶店やレストラン、夜の酒場まで御馳走になった。
たぶんその社長は、年下の友人として懇ろにもてなし、いつの日か、
ビジネス・パートナーに育成するつもりだろう。
与太郎にとって、すこし気が重いだけで、さほど迷惑ではない。
2.退屈しない人々
この社長にかぎらず、いささか心外で迷惑なのは、与太郎が退屈して
いるらしいので、その無聊を慰めてやろうとする親切心である。
(ある老人に、当然のごとく夜昼を問わず呼びだされたこともある)
ふだん自宅に閑居して、気の向くまま(自前で)喫茶店や酒場に向う
のが、与太郎の本分である。さしたる用もなく、十数時間も向きあって
退屈しないのは、与太郎が天から授かった才能によるらしい。
与太郎が合槌を打つだけで、なぜか多くの人は語りつづける。
たぶん話題の方向を先読みするので、話し手の心が緩むらしい。
ただし、与太郎に興味がないので、十分に満足を与えるには至らない。
──「人を退屈させてはいけない(エルミタージュ美術館の入口の標識)」
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19670120 退屈論
── 竹内 康《退屈させない人間 19670120 宴のあと》
3.指を失くした人々
さきの内装会社々長が、例によって車で迎えにきて、あちこちの現場
に案内され、喫茶店やレストラン、夜の酒場まで御馳走になった。
その日、妙なところへ立寄ったのが、本題である。
古ぼけた安アパートの一室で、事務机に電話だけ置いて、中年の男が
座っていた。なにひとつ調度品もなく、まったく生活感がなかった。
どうして社長は、こんなところに用があるのか……。
中年男は、社長の事務所で見かけたことがある。
この日、たがいに会釈したものの、さすがに話題がない。
なにかの拍子に、右手の人差指が欠けているのに気づいた。
ふつう、やくざの世界では、不始末を詫びて小指を落すそうだ。
ここまでは映画でも知られているが、不始末の度合いに応じて、薬指
から中指を経て人差指から親指に及ぶこともあるらしい。
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07月03日(土)
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