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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 俗物街道 〜 わけあり女のかけひき 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20081215
早太郎は、いきなり仕事に弾みがついて、とてもいそがしくなった。
冗談まじりに、友人に「秘書が居れば、便利だろうな」と語った。
数日後「秘書にぴったりの女性がいるよ」と電話がかかってきた。
友人の立会いで、会ってみることになった。
いきなり二人きりになると、なにかの折に不都合かと思えたからだ。
すると彼女は、子連れで現われた。
早太郎は、友人に耳打ちして、文句をいった。
「こぶつきなんて聞いてないよ」すると友人は弁解した。
「ぼくも、たった今まで知らなかったんだよ」
それでも彼女は、せいいっぱいの愛嬌で、なかなかに魅力的だった。
「近いうちに、昼食に誘ってもいいですか」
「よろこんで、ご連絡お待ちしますわ。もちろん子供は友人に預けて」
数日後、駅前のコーヒー・ショップに待たせて、遅刻してしまった。
それでも早太郎の仕事が片付かないので、他のレストランに移動した。
そのまま、車を駆って取引先に向い、用件を済ませることにした。
取引先を乗せて他の取引先に向かい、かなりの現金を受けとった。
いそいで先のレストランに戻ると、彼女は何も注文せずに待っていた。
「お茶くらい頼めばよかったのに」というと、笑って首をかしげた。
これでもう、彼女の心をつかんだと思った。
ほんとうは、彼女が男心をつかんでしまったのである。
早太郎は、ネクタイをゆるめながら、甘口のワインを注文した。
おそがけの昼食を済ませると、飲みのこしのワインに仮の封をして、
「さぁ、出かけよう」と立ちあがった。
もちろん、すぐに彼女も、いそいそとついてくる。
ハンドルを片手に、アタッシュ・ケースから銀行の紙袋を取りだす。
「きみは、銀行に勤めていたそうだね」「むかしむかしね」
「これを数えてくれないか」「いいわよ」
助手席の女に札束を勘定させながら、白昼堂々とラブホテルに着けた。
ここで初めて女がたじろいだ。まさか、こんなに簡単に連れこまれる
とは予想していなかったらしい。あまりに安っぽい俗物図鑑である。
これが宇能鴻一郎なら、たちまちスッポンポンになっているはずだが、
川上宗薫だと、もうひとふんばり書きこむところだろう。
(つづく)
川上 宗薫 作家 19240423 愛媛 東京 19851013 61 /〜《夏の末 1968 南北社》
宇能 鴻一郎 作家 19340425 北海道 札幌 /誤=宇野〜《鯨神 1961 文学界》芥川賞
── 川上 宗薫は、現場を見られても決して認めてはいけない、と諭
した。「ナニをしてるんですか!?」「向う側へ行こうとしてるんだ」
「ドーシテ裸になってるんですか?」「暑かったからだ」
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