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与太郎文庫
by 与太郎
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■ Varchal Library 〜 仮想図書館 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20070711
その当時、ヴァーチャルという概念がなく、誰も理解できなかった。
かつて与太郎は、空き部屋を倉庫に改造するための融資を求めた。
呼びつけられた銀行員は、乗り気なさそうに雑談に応じていたものの、
実際に空き部屋を見るや、黙りこんで帰っていった。
つぎに、テレビ局のプロデューサーが、雑誌の編集者を連れてきた。
「きみのところには、なんでも写真がいっぱいあるらしいね」
「いや、現物があるわけではない、そのリストを収集する予定です」と
答えると、ふたりは顔を見合わせて帰っていった。
さらに、友人の友人が「その空き部屋には、すでにぎっしりと写真の
束が積みあげられているんでしょうね、ぜひ拝見したい」と云った。
「いや、現物があるわけではない、そのリストを収集する予定です」と
答えたが、どうしても承知しない。
説明するのも面倒だから、ドアを開いて彼を招じ入れることにした。
その空き部屋は、裸電球が一個と、古い桐ダンスだけだった。
友人の友人は、絶句して帰っていった。
その空き部屋は、ついさきごろまで、十数年間も女中部屋だった。
このエピソードは、つぎの短編に連動している。
集英社版を読んだ記憶では、傑作を制作中だという彫刻家が、誰にも
見せまいとするので、怪しんだ友人がアトリエに忍びこむと、そこには
“カラの作品”が存在していた、というストーリーだった。
── 《世界短編文学全集(全17巻)フランス篇 19621220 集英社》
── 「芸術の使命は自然を模写することではなくこれを表現すること
にある」という信念をいだいて一つの作品に十年の精進をささげた老画
家が、限りなき理想と限りある人間の力量との隔絶に絶望し、ついに心
血を注いだ画布を焼きすてて自殺する経路を描いた『知られざる傑作』
を初め『人間喜劇』からえりすぐった六つの短編小説を収めた。
── バルザック/水野 亮・訳《知られざる傑作 19281125 岩波文庫》
Balzac, Honore' de 17990520 France 18500818 51 /〜《人間喜劇90篇》
もうひとつ日本の小説で、文学青年仲間のひとりが、つねづね「小説
を書いている」と云うため尊敬されていたが、だんだん怪しまれるよう
になり、ついに書いていないことがバレる、という筋書のものだった。
よく思いだせないが、この種の私小説は、いじけていてつまらない。
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Google Library 【慶應義塾の図書12万冊Googleで公開】
慶應義塾は、Googleと連携し、慶應義塾図書館の蔵書12万冊をデジタ
ル化し、世界に公開することを明らかにした。
公開されるのは、いずれも著作権保護期間が切れた、明治初期までに
日本で発行された和装本と、明治・大正期と昭和前期の日本語図書。慶
應義塾の創設者、福沢諭吉の著書類も含まれる。
Googleは、図書館の資料をネット上で検索できる「Googleブック検索
図書館プロジェクト」の世界展開を進めており、すでにミシガン大学、
ハーバード大学、スタンフォード大学、オックスフォード大学など25の
機関が、このプロジェクトに参加している。慶應義塾は日本で最初の参
加機関となる。(20070709)
http://scienceportal.jp/news/daily/0707/0707092.html
慶應義塾大学のプレスリリース
07月11日(水)
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