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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 悪友四重奏
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20010920
悪友番付 〜 続・サンピツ 〜
ホリデー・バーガーおよび杉さか屋の跡地を通りすぎ、南座に面する
パーラー・菊水で小憩(君子、南面ス)。
四条花見小路の交叉点を渡ったところで馬場君と出会い、連れだって
美登幸の座敷に向かう。吉田君は、先に来て下座を占めていた。
(子曰く、まことに礼にかなっている)
竹内君が現われるまでの、三人は七年と三日目の再会である。
…… 君子交リヲ絶ユトモ 悪声ヲ出サズ。 ── 《史記・楽毅伝》
阿波 どういうわけか、ボクの友人は、悪筆ばかりやね。
吉田 えらい、すまんな。
馬場 ゴリさんは、このところ上達しとるで。こないだの手紙なんか、
きっちり丁寧なもんやった。
阿波 それはみとめるとしても、当時の三筆といったからには、順位を
つけるために、ふるい手紙を再点検してみたところ、なんといっても、
筆頭は竹内君だ。彼は高校時代、新聞社に入るつもりだったらしいが、
放送局に変更したために、おおくの植字工が救われたはずだ。なにしろ
本人自身「ときどき読めない部分がある」というのだから、文句なしの
横綱だった。つぎの大関は、ゴリとアリガの争いとみていたが、実物を
くらべると、有賀誠一君が一歩まさって、ヒドイもんだ。したがって、
ゴリは関脇に甘んじるべきだ。バンバ君はそれほどでもないが、小結の
資格はじゅうぶんにある。
(判定しがたいのは河原満夫君で、悪筆ではないが、原稿のマス目にこ
だわらない不思議な書法なのだ。はじめから土俵を割っていて、番付外
の張出平幕筆頭とでもしておく。杉井先生いわく「どうも、あの男には、
近道や回り道の概念がないらしい」と評されたのが印象的だ。あるいは
与太郎と対比されての表現かもしれない)
馬場 成績に反比例する、いうのは何でや?
阿波 かならずしも確証はないのだが、頭の良い連中にとって、すでに
分っていることを、わざわざ文字に置きかえる作業が面倒なのだろう。
したがって、記号ごときに美学や意義をみとめないためではないか。
(すこし上の世代までは、達筆こそは秀才の条件でもあったのだが)
吉田 若いころ、きみはレタリングの話ばっかりしとったやろ。
阿波 ゴリがウンザリして、その話は誰ぞ人をやとって聞かせたらどや、
いうほど切実なテーマだった。
吉田 活字の“フトコロ”がどうとか言うてたのを思いだして、のちに
広告代理店の女社長に言うてみたら「へぇー、おくわしいですね」と、
感心された。
阿波 よう覚えていたな。ほかに“タマリ”というのもあるぜ。当時は、
記号や伝票のシステムが、とても重要に思われた。のちのち情報美学を
創称してみたが、結局イチモンにもならなんだ。
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── 《Day was Day 20001231 Awa Library》P048《サンピツ 〜 同中三筆 〜》
── Veterans Day /《米》終戦記念日《11月11日;法定休日(legal holiday);
もともと第一次大戦の終結を記念して Armistice Day と呼ばれていたが、
1954年改称;国に尽くした軍人の名誉をたたえる/》
── 竹林 滋・小島 義郎・編《LightHouse 英和辞典 1987 研究社》P1580
リ・タイア 〜 最後の名刺 〜
まず、馬場君が定年退職後の日々を語る。
日曜日は、バプテスト教会で神学研究会。週に二日は同志社大学神学
部で神学をまなぶ。さらに一日はプールで2.5キロメートルも泳いで、
翌日は医者に通う。もう一日は夫婦でドライブをかねて温泉をめぐる。
すなわち予定がないのは一日だけであるという(バンバ・ホリデー)。
「毎日が日曜日やなかったのか」
「退役老人にしては、ちょっとぜいたくすぎるな」
などと、とりとめのない会話がつづく。
「ぼくの誕生日は、アワくんと同じ一月二十日やろ。ことし満六十歳の
日付で定年退職した」
「すると、一月二十日も労働したのかね?」
「いやいや、前日までの勤務やった」
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09月20日(木)
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