ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
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■ われらがボピー 〜 詩人・友人・俗人 〜
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20000103
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/list?id=87518&pg=000000
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 from Our Picture;Peter Camenzind
http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0312422636/bookrags
 A Novel (Paperback) by Hermann Hesse, Michael Roloff
 
 1.中学時代の蔵書(内村くんの感想文)
 
…… この大作はことによったら、もう一度書き直し、書きつづけ、完
成する様な時が恵まれるかも知れない。その時こそ私の青春の憧憬が充
される時なのであり、私は詩人になれた、と云うことになるであろう。
 それは私にとっては村会議員や、石の堤防と同じくらい、或いはなお
それ以上の価値のあるものだったかも知れない。しかしながら、それは
あのほっそりした美しいレージ・ギルターナーから可哀想なポッピーに
至るまで、愛すべきあらゆる人々の像をひっくるめた、──あの私の生
涯の過去とはなったが、しかし不滅であるところのもの──に較べたら、
元より及ばぬものであったであろうが。
 
adlib/19541006 図書室便り 〜 読後感想文コンクール 〜
── ヘッセ/芳賀 檀・訳《郷愁・春の嵐 1953‥‥ 新潮社》現代世界文学全集T
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/B000JB4J2K
 
 2.高校時代の回想(井上くんの記憶)
 
── 《郷愁》に描かれたボピーとおなじ病気の井上君は、中学時代
の宗教部でどんなにか親しかったのに、半年もつづけた早朝祈祷会や、
ときには若王子山頂の校祖墓前に彼も挑戦し、街の安食堂で笑いあった
仲間だったのに、高校に進むと、文芸部・ホザナコーラス・器楽部など
彼の不得手なグループばかりに加わって、たちまち疎遠になりました。
http://d.hatena.ne.jp/adlib/20001009
 ポール先生、さようなら 〜 Reunion 〜
 
 3.中年時代の蔵書(次男の担任教諭に紹介)
 
── 引き出しには、私の大きな創作のはじめの部分がはいっている。
 「わが生涯の作品」ということができよう。それはあまりおおげさに
聞こえるから、そうは言うまい。というのは、この作品の進行と完成は
おぼつかないことを告白しないわけにいかないからである。新しく始め、
続け、完成する時が、もう一度来るかもしれない。そうなったら、私の
青春のあこがれは正しかったわけで、私はやはり詩人だったのである。
それは私にとって村会議員や石の堤防と同じくらいの、あるいはそれ以
上の値うちがあるだろう。しかし、すらりとしたレージー・ギルタナー
から哀れなボピーにいたるまで、なつかしいすべての人々の姿を含めて、
私の生涯の、過ぎ去りしはしたが、消え失せることのないものを、それ
はつぐなうに足りないだろう。
── ヘッセ/高橋 健二・訳《郷愁 19560831 新潮文庫》P185
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4102001077
 
 4.壮年時代の感慨(長男と語ったこと)
 
 わたしは、ヘッセは感傷的な作家で、少年時代に感銘を受ける読者が
多くても、中年になれば忘れられるにちがいないと思いこんでいた。
 どことなく、お説教くさくて、心を打たれなかった。
 
 高校時代、疎遠になった井上くんが訪ねてきて、わたしの本箱を眺め、
あの美しいカバーの文学全集の一冊から《郷愁・春の嵐》を借りたいと
云ったのに「全集ものだから貸したくない」と断わってしまった。
 
 傷ついた井上くんは、ふたたび現われることがなかった。
 三十才をすぎて、わたしが同窓会の幹事をつとめた数ヶ月後、往年の
生徒会長(女医)から、はがきで礼状(197104‥)が届いた。
 
…… 「あのあと井上正雄さんを訪ねて、同窓会がどんなに楽しかった
か、お話をしてまいりました」彼女は、しかし井上君のことを思いだし
て、あるいは私にかわって、彼をはげましてくれたのです。……
 
 5.老年時代の消息(それぞれの命日)
 
 さらに彼女は、30年後に、井上くんの命日(20000103)まで伝えて

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01月03日(月)
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