ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
[1061224hit]
■ ふるさと日本のイントロダクション
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19770912
本郷 公【ほんごう・ただし】明治43年岡山県久米郡に生る。
東大独法科卒業。倉敷紡績・専務取締役を経て昭和49年現職。
(Interviewer:Yoshihuji, Ken'ichiroh)
──アイビー(ivy=つた)は アメリカ東部の名門大部の総称で ファ
ッション用語としても アイビー・ルック などもっぱら若者の世代を
象徴しています 49年に倉敷アイビースクエアが設立されマスコミによ
って全国的に有名なヤングのメッカと伝えられましたが もとより商業
主義一辺倒 あるいは虚像だけを売りものにしたレジャー産業でないこ
とも知られています しかし十分に理解されているかというと かなら
ずしもそうではない きょうは その点を くわしくうかがいたいので
す
本郷 おっしゃるとおり ヤング一辺倒という印象は あるいは当然か
もしれません 私どもから見てもお客さまの多くはヤングだしその一世
代の感受性にフイットする要素が 少なくないからでしょう しかし
はじめからそれだけをねらって演出したのではありません
設立の目的も いろいろな要素があってひとつは 倉敷紡績発生の地
を記念することですね 当時の工場をなるべく残し残せるところは残す
ように工夫しました注意して見ていただくなら 古い柱の傷ひとつにし
ても 当時なんらかの実用性があったものは わざとそのままにしてあ
ります“つた”も当時では保温と斬熱効果を考えて植えたものらしいで
すね これが今になって 未来に向っての生命力のシンボルとして観賞
されるようになって あたらしい視点から評価を得ることができたとい
えるでしょう こうした例をいくつか考えてみて単なる懐古趣味にとど
まらずに 過去・現在・未来を通じての感慨にふけることも 私は大切
なことだと思うのです
──異なる世代との対話にも通じるわけですね
本郷 ひとつの物を眺めることから 若者と老人が 共通の話題をもて
るようなそんな広場としてアイビースクエアを考えていただきたい こ
の広場は無料で解放していますから 遠釆のお客さまだけでなく ご近
所のかたが散歩にこられてひとときを過ごされる あるいは都会の若い
人たちに接触する機会もあろうかと思います とくにはっきりした目的
がなくてもさまざまの人が自由に 歩いたり立ちどまったり 考えにふ
けったりするのを静かに見まもっているような そんな広場が 私ども
の理想の出発点といえるでしょうね
──そういう理想というものは やはり倉敷紡績の発展と伝統があれば
こそ育てられたものでしょうね
本郷 もともと 初代社長 大原孝四郎が ひとりで思いついて始めた
事業ではありませんのでね 明治のはじめごろ 三人の若者が集まって
これからの日本がどうなるか 倉敷の将来を託するには誰が何をどうす
べきか ということから倉敷の長期的かつ健全な発展のためには紡績が
よい と結論して 大原氏を説得したんですね 企業の社会的使命とか
周辺地城の利害などが論じられる以前の立場で 大局にのぞんでいたわ
けです こういった姿勢は 歴代社長にも継承されて 本来の業務だけ
でなく 福祉事業文化事業 さらには労働問題の研究でもそれぞれ大き
な業績をのこしています 私どものアイビースクエアは こうした大樹
の枝に咲いた一輪の華であると自負しています 亡くなった歴代社長た
ちが現在の姿を見て“われわれも同じことをやったにちがいない”とい
われるように努力せねばなりません
──経営体としては どういう形ですか
本郷 すべての設備を倉敷紡績から借りうけて家賃を払っています 商
業空間としては実に“ムダ”が多いんです 採算のとれない部門もかな
りあるんですが 広場の責任者として あえて改造しないつもりです
商業的に完壁でないことがひとつの節度のように思われます 加えて未
完成な面もいろいろありましてね しかし この未完成ほど意欲をかき
たててくれるものは 他にありませんね
[5]続きを読む
09月12日(月)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る