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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 同窓会始末
 
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19710115
 
 同窓会始末 〜 閉会あいさつに代えて 〜     阿波 雅敏
 
 来賓十四方、先輩後輩あわせて百名ちかくのご参集を得た、このたび
の同窓会は、終始さまざまの遺漏があったにもかかわらず、なかなかの
盛会となりました。
 次なるあたらしい展開に期して、その発端ならびに経過を述べたいと
存じます。
 同期生のひとりとして、あるいは世話役のひとりとして、きわめて私
的な語りくち、になることを、あらかじめお許しねがいます。
 規模の大小にかかわらず、概して同窓会と称するものの、実は原則的
に、二通りのパターンがあるようです。
 《彰栄会》とか《白鷺会》のように、卒業と同時に、自動的に入会金
を納めて、専従の事務局を設けた上で、定期的な運営によるものを、か
りに公設同窓会とすれば、クラス単位のものや、グループ・クラブ活動
のOB会などは、私設同窓会と呼ぶべきでしょう。
 このたびの同窓会が、後者に属することはいうまでもありません。し
かも、めずらしい形態であった、といえます。
 考えてみれば、中学・高校時代の各種OB会はあっても、当時あれほ
ど重要とされた、《生徒会》そのもののOB会などは、あまり例をみま
せん。もし、あるとすれば、めずらしい例にちがいありません。
 われわれが、《同窓会》について、いかにばくぜんとした概念を抱い
ていたか、以下の経過が如実に示すとおりです。
 
 ■ おりから三十世代
 
 たとえば、街で、ぐうぜんに出会った相手が、かつての同期生であれ
ば、いずれ同窓会でもやろうじゃないか、という話が出るのは三度に一
度でしょう。はたして、それが実現するのは、何十に一のわりあいです。
 今回の場合は、当初三人の出会いで、大筋がまとまりました。
 佐々木敏男君の経営する《ホリディ・バーガー》に、土井勇君が立ち
よって、おそらくは無駄話をしていたところへ、腹を空かせた私があら
われた、のが幕あきで、昨年十一月中旬のことです。
 その夜、ウィスキーの水割りと、奇想天外なジョークの合間に、具体
的な要点があきらかになるにつれ、三人三様の役割りも、はっきり定ま
ったようです。
 このことは、たんに土井君が《土井公認会計士事務所》に勤務してい
るから、すなわち会計担当幹事に、という連想だけでは説明できかねる
面もあります。かといって、彼が、当初志望したという、職業カメラマ
ンであったなら、おなじ役柄に落着していたかどうか、まさに「おりか
ら三十世代」という惹句は、その夜の私の実感でありました。
 
 ■ ある私設同窓会
 
 さて、世話役はきまったものの、だれいうとなく、どうもこの三人で
は、呼びかけるにしても、パッとしないんじゃないか、それもそうだ、
というわけで、とりあえず古い名簿を持ちよったのが翌日の午後でした。
 酔いざめの頭で考えてみると、なぜパッとしないのか、よくわからな
い点もありましたが、いわゆる発起人会を設けるのがよかろうというわ
けで、ほぼ無作為に同期生三十数名を選び、「御名拝受いたしたく、ご
快諾のほど、お願い申し上げ」る旨、急遽ゼロックスのコピーを発送す
ることになりました。 これから以後の、渉外担当幹事こと佐々木君の
活躍は、まことに俊敏で目をみはるものがありました。なにしろ郵便が
着くかつかぬうちに、電話で口答の「快諾」をとりつけ、長距離電話も
ものかわ、コピーを増刷して手ずから届け、はては自費で宴席を設ける
におよび、同窓会の趣旨について一席ぶつこともしばしばあったようで
す。
 いわば、最小の規模で、彼自身の主催による私設同窓会を、夜ごと展
開したわけです。
 余談ながら、ある夜、彼と夕食を共にした折のやりとりを紹介しまし
ょう。
 「いそがしいとクルマが要るな」
 「街なかの用たしは、自転車にかぎるぜ」
 「自転車を買おうか」
 「フジイ・ダイマルで特価品があったな」
 「それ買っといてくれ」

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01月15日(金)
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