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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 読後の感想を語る会 〜 壷井 栄 〜
http://d.hatena.ne.jp/adlib/19550316
壷井 栄著《二十四の瞳/母のない子と子のない母と/柿の木のある家》
読後の感想を語る会
心にふれる作者の人格/やさしい小母さんの感じ……
司会 ではさっそく壷井栄著二十四の瞳≠中心に、読後の感想など
いろいろ話しあいたいと思います。阿波君いかがですか。
阿波 こういう会があるというので急いで読んだのですが、もう一つの
作品母のない子と子のない母と≠あわせて読んでみて、そのど
ちらにも云えることは、壷井栄さんの人格ですね。あたたかいもの
にふれたということは云えると思います。
木村 小母さんみたいな感じの人だと思いました。庶民的で少しも気取
らないで、だれが読んでも深いあじわいのある作品です。
高島 写真見たらほんとうに小母ちゃんね。先生よりもね。(笑)
今村 自分の気持をいつわらずに書いていると思いました。
高島 壷井栄の主人が週刊朝日≠フ「妻を語る」で書いていましたが、
奥さんの壷井栄はほんとうのしろうとだったのが御主人が作家なの
でマネをして書き出したらこんどは主人よりいそがしくなったそう
ですね。そういうところが普通の小説家と違うところなのね。柿
の木のある家≠れは短編だけれども、あれをお読みになったら、
作者の人がらがよくあらわれているように思いますけど。
遠藤 「坂道」や「ともしび」など本当に子供の世界を理解していると
思いました。
高島 生活の中から問題を見つけ出しているのね。もえるような信念を
もって、いろんなものをながめて、そしてそれに解答を与えている
……。「二十四の瞳」でも作者が一生県命うったえている感じね。
大石先生やらおとらおばさんが作者自身の姿でもあるわけですね。
あたりまえに思われていた戦死
川北 大石先生は戦争≠やめなければならないと言っていますが、
その子供たちは戦争をあたりまえのように考えていますね。
宮武 教え子がどんどん戦争に行ってしまっても、それをひきとめられ
ない大石先生の気持がわかるように思います。
内村 軍国主義のはなやかな時代に育った大吉が戦争≠ノ魅力を感じ
たのはわかります。僕も戦争の頃は斗うこと≠ノ魅力をおぼえて
いました。最近では少年自衛隊≠フ志願者が多かったそうですが。
司会 草の実≠出した稲川先生が赤≠セといわれて牢に入れられ
ていますが。
内村 そのことがあってから他の先生は全く自分の考えを述べなくなっ
たのに大石先生だけが、消極的ではあったが自分の正しいと思うこ
とを云えたのは立派でした。
古荘 結局、それも自由にものが云えなくなったのと子供達が皆卒業し
てしまったので大石先生は先生をやめてしまったのですね。
高島 私はなんやいくじなしやと思ったけど。
内村 僕は不自然に思わなかった。そうするより仕方がないと思いました。
阿波 今はとにかく自由ですね。その頃と比較にならない位。
高島 そこで作者はいヽわけをしているんです。「牢にぶちこまれるだ
けが抵抗ではない」とね。批評家ははっきり反戦文学≠セと言っ
ていますが、つべこべいわずとも反対したくなるのは自分の育てた
生命がそこなわれるのにたえられないからでしょうね。
北川 戦争は本当にいやですね。
あんな先生やったらえヽなぁ%o場人物はみんな善人
高島 あんな先生やったらえヽなぁ≠ニいうのを聞いて耳が痛いんだ
けど(笑)全面的に見て悪い所はないわね。あヽいう情愛に結ばれ
たらいヽと思うわ。家庭ではわがままだけど、それは先生の家庭
生活≠自由に描いているからで、教育者だからといって家庭生活
までゆがめられていないのがよい。又先生が生徒に自分を押しつけ
ていないことも大へんいヽと思います。
吉田 生徒に対して母性的だから家庭では反動的に母に甘えてるんでし
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03月16日(水)
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