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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 信疑一如 〜 Believe in your ears and doubt your eyes 〜
葬儀の時に、大きく笑いながらも、目からはボロボロと涙がこぼれ落ち、
出棺の時、たこちゃんのひたいをピシャリとたたいては「この野郎、逝
きやがった」とまた高笑いしながら、大きな涙を流してました。あなた
はギャグによって物事を無化していったのです。
 
 あなたの考えは、すべての出来事、存在をあるがままに前向きに肯定
し、受け入れることです。それによって人間は、重苦しい意味の世界か
ら解放され、軽やかになり、また時間は前後関係を絶ちはなたれて、そ
の時その場が異様に明るく感じられます。この考えをあなたは見事にひ
とことで言い表してます。すなわち、「これでいいのだ」と。
 
 いま、2人で過ごしたいろんな出来事が、場面が思い浮かんでいます。
軽井沢で過ごした何度かの正月。伊豆での正月。そして海外へのあの珍
道中。どれもが本当に、こんな楽しいことがあっていいのかと思うばか
りのすばらしい時間でした。最後になったのが、京都5山の送り火です。
あの時のあなたの柔和な笑顔は、お互いの労をねぎらっているようで、
一生忘れることができません。
 
 あなたはいまこの会場のどこか片隅で、ちょっと高いところから、あ
ぐらをかいて、ひじをつき、ニコニコと眺めていることでしょう。そし
て私に「おまえもお笑いやってるなら、弔辞で笑わしてみろ」と言って
るに違いありません。あなたにとって死もひとつのギャグなのかもしれ
ません。私は人生で初めて読む弔辞があなたへのものとは、夢想だにし
ませんでした。
 
 私はあなたに生前お世話になりながら、ひと言もお礼を言ったことが
ありません。それは肉親以上の関係であるあなたとの間に、お礼を言う
時に漂う他人行儀な雰囲気がたまらなかったのです。あなたも同じ考え
だということを他人を通じて知りました。しかしいまお礼を言わさして
いただきます。
 
 赤塚先生本当にお世話になりました。ありがとうございました。
 私もあなたの数多くの作品のひとつです。
 合掌。平成20年8月7日 森田 一義

03月23日(水)
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