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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 聴く観る読む 〜 Listening, Watching and Reading 〜
は、ジムを訴える事は白人社会に対する善であり、共に旅を続けること
はジムという一人の人間に対する善なのです。黒人奴隷の逃亡に関われ
ば自らも罪に問われるハックがジムを訴え出なかったことは、奴隷制度
という古い法律を遵守し続ける社会に対し、一人の少年の人間に対する
愛が打ち勝ったということを意味しているのではないでしょうか。
マーク・トウェインは、奴隷制度廃止論者で、黒人奴隷の解放を支持
する立場をとっていました。自分の息子に暴力を働き、財産を奪い取ろ
うとする父親を始めとして、名家同士で意味のない殺し合いをするグレ
ンジャーフォード家とシェファードソン家、詐欺を働きながら旅をする
王様と公爵など、彼の書く白人社会は、愚かで暴力的で、欲にまみれて
います。(もちろん、ここに描かれている白人社会は、デフォルメされ
たものであり、当時の全ての白人が愚かで、全ての黒人が善良であった
ということはあり得ません。)
しかし、ハックルベリー・フィンは、白人社会のはみ出し者であるが
ゆえに、人間の心を持ってジムに接することができるのです。そして、
自分を人間として扱ってくれるハックに対し、ジムも人間らしい心を持っ
て応じます。この二人の友情が成立するということは、現代に生きてい
る私たちには理解できないほど難しいことだったのでしょう。年齢も立
場も異なる人間同士が、社会的な常識にとらわれることなく、お互いを
人間として接している事こそが、この作品が二百年近くにわたって愛さ
れ続けている理由なのかもしれません。
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04月22日(金)
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