ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
[1061555hit]
■ PRAD《印刷入門》 序説:紙を汚した技術史
されます 気品と格調にあふれるデザインは 従来の活字のもっていた
多くの欠点を改良した上 漢字や仮名のルーツに対しても 厳しくチェ
ックされています 今日われわれが目にするすべての印刷物(新聞・雑
誌・TVもふくめて)のほとんどが 石井書体であろうと想像されます
石井さんの業蹟は 脱活字時代をもたらした写真植字機の普及と 晩
年には諸橋轍次著《大漢和辞典》13巻の原字制作50万字という二つの頂
点で邦字デザイナーとして おそらく空前絶後の巨峰です。
証言3:ファッションとしての文字
── 石井翁が亡くなってから昭和45年“石井賞”が設けられ文字デザ
インのコンクールが開催されています 47年“石井賞”が設けられ文字
デザインなどユニークな企画が好評です“石井賞”では 中村征宏氏が
第1回第1位の栄冠を手にしました 中村さんの描いたラウンド風書体
なので“ナール”と名付けられ 50年ふたたび中村さんの角ゴシック風
の新書体だから “ゴナ”と呼ばれる文字群が商品として世に出ること
になりました ゴナもナールも たとえばアンノン雑誌のようなカラー
ページの多い印刷物 端物と呼ばれるパンフレットやポスター さらに
週刊誌を主な市場として まさに一世を風靡しました こうして毎年フ
レッシュな書体が開発されています
その傾向をみると 本文用から見出し的な効果をねらったものに変化し
ております もし石井翁が存命であれば これらの文字についてどんな
感想を抱かれるでしようか
石井細明朝 愛 あ ア
ナ ー ル 愛 あ ア
ゴ ナ U 愛 あ ア
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
座談金:製・整・刷版
── 文字ができますと 印刷に必要な手順は 次の三段階です。
1.製版(活版印刷では、鉛の活字を鋳造して並べる。オフセット印刷
では清刷とか写真植字を台紙に貼る一一広義の版下作業に当る)。
2.整版(活版印刷では、刷面をととのえもっぱら物理的な調整。オフ
セットの場合は写真撮影して最終版となるアルミ版に腐食焼付する)。
3.刷版(それぞれの最終版を機械にかけ、紙を送りこむ)。
実際には さまざまの方式があり それぞれ複雑な工程と技術を要し
ます。こうして最初の一枚がインクで汚されるわけで ここまでの費用
は たとえ一枚であろうが 一万枚であろうが。まったく変りません
経済的ロットという考えがありまして設備の規模に応じて 担益分岐点
を枚数であらわしたりします 5000、3000、1000枚といえば その工場
でそれ以下の枚数を註文しても 値段はあまり変らないようです スク
リーン印刷では 経済ロットは何枚でしょう
土井 千枚以下ですね ふつうの印刷ですと枚数が多くなるほど 単価
が安くなるんですが 私のところでは そうならないんです 半自動の
輪転機を使ってますが ほとんど手作業で 一枚づつ抜きさしするわけ
です 特殊な印刷ですから 一般的な印刷の概念から外れたものですね
── すべての印刷がマスプロをめざしているかというと 反面 たと
えば学校の試験問題などのように限られた小部数の需要もあります ゼ
ロックスなどは もっとも進んだ印刷機械でしょうね 手を汚さない
ある時期まではこうしたミニ印刷は“ガリ版”が一手に引き受けていま
したけれども
岡 あれは書き手によって ずいぶん異ったものになりますね いまで
も学生運動なんかに活用されてます
── アジビラや機関誌など 内容によっては印刷屋さんに出せない
(笑)ものもありますから
岡 経済ロットはいちばん低いでしょうけれど 耐久ロットはどうです
か
── まず線の部分から破れてくるんです 輪転機を使うと少しは永も
ちするのですが インクと紙ぽこりの目づまりも早いから 不鮮明な仕
上りになります 私自身の経験では スクリーンを使わずに原紙そのも
のにローラーを当てますと 忠実な再現が可能ですインクの量を最低に
[5]続きを読む
02月01日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る