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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 山脈・第十五号
彼にとってはこの歌こそ謂わば解脱だったのです。自分の有情の苦しみ
からの解脱だったのです。それでは一体何に彼の満たされなかった心は
満たされたのでしょうか。それは満たされる事を求めない心なのです。
花や月や景色に対する執着の気持を棄てた事に依って、彼の心は満たさ
れたのです。はっきりと自然の無情を悟ったのです。そして自分も又諸
行無常の中にあるのだという事を知ったのです。彼の歌っているわが思
いとはも早何か一つの物に向けられたものではないのです。対象のない
広い世界に、行方も知らぬ彼方に向けられたものなのです。彼はもう応
えられる事を求めてはいないのです。富士の山を前にして、彼はもはや
その山に対する執着の気持はないのです。富士の山を見てはいないので
す。唯富士の山は彼の眺める方向を定めるだけなのです。彼は無限の大
空の彼方を眺めているのです。彼の情が物に対する執着から解脱したの
です。こうして、無情と無常をはっきり悟った彼には、もはやこの世に
対する、生に対する執着の気持もなくなったのでしょう。彼が最後に
願はくは花のもとにて春死なむそのきさらぎの望月のころ
と詠んだのも当然の事だと頷けるでしょう。
── 《山脈・第十五号 19580625 同志社高校文芸部》P7-10
Pascal, Blaise 哲学 16230619 France 16620819 39 /〜《Pansees》
兼好 法師(籍=吉田)1283ca‥ Japan 1352以後 69 /弘安 6.‥‥ 正平 7.文和 1.以後
/〜《徒然草 1331ca》
鴨 長明 歌人 1155‥‥ Japan 12160724 62 /久寿 2.‥‥ 建保 4.0608-0609
/〜《方丈記 1212 》 1153(潮〜朝)/誤=0618閏(61)
西行 法師 歌人 1118‥‥ Japan 11900323 73 /元永 1.(歴)建久 1.文治 6.0216
/〜《山家集》“花のもとにて春死なむそのきさらぎの望月のころ”北面の武士
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竹内 康 NHK 19401127 京都 20090311 68 /昭和15.1028 平成21.0215
/〜《無情について 195806‥》《パブロ・ピカソ 19581010》《客体から主体へ 19570602》
…… 文芸部誌四年間を通じての白眉、《日常について 19641210 点展》
の脚注参照。過去に、風変わりな題名の日本映画《愛情について 195. 》
が記憶にあるが、手もとの資料にはない。(後日判明)
── 製作・藤本 真澄/監督・千葉 泰樹/脚本・水木 洋子・井手 俊郎
/撮影・三浦 光雄/音楽・伊福部 昭/美術・河東 安英/録音・小沼 渡/
照明・大沼 正喜/出演・山根 寿子・二本柳 寛・三国 連太郎・
村田 知英子・小泉 博・杉 葉子・斎藤 史子
── 映画《愛情について 19530514 東宝》10巻 2,645m 白黒
http://www.jmdb.ne.jp/1953/cc001280.htm
── 遭難 〜 谷川岳の記録 〜 岩波製作。脚本・演出高村武次。撮影
加藤公彦。谷川岳に待機して雪山遭難の原因と実情を冷静に把握し劇的
効果をも高める。文部省芸術祭賞。日活系上映。(昭和三三・三)
── 田中 純一郎《日本映画発達史X 19760310 中公文庫》P469
岩波映画製作所(社長・森重貝崙)は 19981210 破産申請 19990105
破産宣告、負債総額約 1,215,000,000円。
…… この十五号から、印刷業者が変った。下村先生の友人というから
には早稲田出身の歌詠みか、あるいは病を同じうする文学青年が、生活
の糧を得べく、片手間に商いをすることになったそうである。
はじめて二色刷りの表紙原画を、パステルで描く。ついでに父の店で
使うDP袋もデザインして発注した。いずれも自信作で、製版技術にも
満足できた。貧しい文学青年に、いささかの利をほどこしたつもりでい
たが、母が支払いの折に、無頓着にも値切ってしまっていた。
── 《虚々日々 Day was Day 20001224 Awa Library》P71
…… 仏教の「生きとし生けるもの」は、人間だけではなく、すべての
生物が、けなげに生きながら「輪廻転生」する風情を尊いと観たのです。
このような文学的感傷が、とりわけ日本において進化したのでしょう。
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06月25日(水)
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