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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 埋蔵と死蔵 〜 Buried as Dead 〜
猫好きで、東京都文京区小石川に「猫ビル」「ネコビル」
(島倉 二千六により巨大な猫の顔が壁に描かれている)の別名で呼ばれ
る地上三階地下一階建の事務所兼書庫を保有していた。猫ビルは、妹尾
河童『ぼくはこんな本を読んできた』で図解紹介、NHK『探検バクモン』
でも紹介された。無類のワイン好きで地下にはワインセラーを設置した。
子供の頃から古書店に通い、ジャーナリスト活動を始めてからは、読
書時にためらわず本の端を折ったり付箋を貼ったり文に線を引いたりで
きるように古書を購入することが多かった。秘書を務めていた妹の菊入
直代に、自身の名を冠した蔵書の文庫化や記念館設立は絶対にやめてほ
しい旨を生前伝えており、ネコビルなどにあった蔵書の資料の多くは古
書店に譲渡された。単行本だけで5万冊を超える。詩人・立原 道造に関
する分は軽井沢高原文庫へ寄贈されるなど、文学館や研究者へ贈られた
蔵書もある[26]。
取材資料については、立花の幼馴染である板谷 俊一NHK元理事が仲介
して、一部が 202206‥ にザ・ヒロサワ・シティ(茨城県筑西市)に寄
託されたが、相続代理人弁護士が、取材源の秘匿に反することなどを理
由に公開には反対している[27]。多くの現代史研究者らは資料の貴重性
を指摘し、公開の是非はともかく、保存はしてほしいと訴えている[27]。
幼少期より人の生と死の問題に関心を持ち、人間存在の本質に興味を
抱き続けた。立花自身は、「人生というのは、いつでも予期せぬことに
満ち満ちている。計画など立てたところで、計画通りの人生など生きら
れるはずがないのである。もし自分の計画通りの人生を生きた人がいる
としたら、それはたぶん、つまらない人生を生きた人なのだ…(略)」
と述懐している[28]。
脳研究に尋常ならぬ興味を抱き脳関係の著書も多いが、その理由のひ
とつとしてより良い頭の使い方というものが存在して、それを習得する
ことで自分の知的生産能力が向上するのではという実用的、功利的な興
味があった[4]。
臨死体験、脳死、異常性格者、超能力などを科学的な視点から論じる
ことで、一部の者からオカルト主義者との評価が生まれた。
知りたいという根源的欲求は人間にとって性欲や食欲と並ぶ重要な本
能的欲求であると位置づけ、その強い欲求が人類の文化を進歩させ科学
を発達させた根源的動因と考える。「知の巨人」のニックネームでも知
られている[4]。
兄は朝日新聞社監査役を務めた橘 弘道(たちばな ひろみち 1938 - )。
がん闘病 2004年頃に膀胱がんに罹患。血尿が出たため、診察を受け
判明。この際、立花はエコーの画像を示しながら説明する医師に、「こ
れが、良性の腫瘍でなくて、がんでございって言うのはどういう風に分
かるんですか?」と尋ねたところ、上皇陛下が天皇に在位していた時に
膀胱がんの手術も担当した北村 唯一教授は「それは経験です。顔つき
を見れば分かります」と答えた。その様子を取材したNHKディレクター
岡田 朋敏は「手術前の説明でも心配する様子などなく、まるでがんと
は何かを知る取材のようだった」と語っている。全身麻酔にするか部分
麻酔にするかと聞かれて迷わず部分麻酔を選び、手術の過程を見たいと
言った。手術後には、「あの映像もらえるのかな?すごくおもしろかっ
た」と発言。その後、立花は《立花 隆 思索ドキュメント がん 生と死
の謎に挑む 2009 NHKスペシャル》の制作に携わるが、岡田の企画書を
見た立花は、文書に書かれていた「立花さんのがんの闘病」「がんの
メカニズム」「最新治療法」を伝えたいとする旨の内容を見て、気に入
らず、降りると言い始めた。立花は岡田に向かい、「あなたね、がんと
いうものが治せると本気で思ってるの?」と言い、がん治療の限界を説
く田中 秀一の著書《がん治療の常識・非常識 2008 読売新聞社》を示
し、これを読んで出直して来いと命じた。岡田はこれに対し、著書を読
んだのちに「がんがどうして克服できないかを徹底して取材しましょう」
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08月04日(日)
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