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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 時空不可分 〜 space-time indivisible 〜
なんてたって、時間も空間も目に見えないし、触ることすらできねえと
きてる。色も形もないから、絵に描くことも写真に撮ることも不可能だ
しな……。
時空は「膨らんだり縮んだり」する
熊さん まったくそのとおりなんだが、相対性理論では時間も空間も
——つまり「時空」は、あたかも“物体”のように扱われ、物理学の“対
象”になっているんだ。
物体の存在自体がその周囲の空間になんらかの影響を与えて空間を変
化させたり、あるいは空間も時間も同時に縮んだりするんだよ。
八っつあん なんだって!?
時間や空間そのものを、いったいどうやって物理学的に取り扱えるん
だ? まったくなすすべがないように思えるんだがなあ。
熊さん 驚くなよ。じつは、時空はゴムのように膨らんだり縮んだり
する。一般相対性理論では、時空は「弾性体」のようにふるまうんだよ。
だから、たとえ見たり触れたりできなくても、時空は当然、物理学の対
象になりうる。
【イラスト】時空はゴムのように膨らんだり縮んだりする © 現代ビジ
ネス
時空が膨らんだり縮んだりを繰り返すと、それは「時空の伸縮の振動」
となる。特に、空間(真空)の振動は光の速さで伝わり、それが「重力
波」を形成する。
重力波の存在は、物質やエネルギーが空間(正確には時空)をゆがま
せることの証拠になるんだ。2016年2月、この重力波が検出されて一大
ニュースとなったことを覚えているだろう? 一般相対性理論では、こ
の「時空のゆがみ」をもって重力場としていて、重力は時空のゆがみに
よって生じるものと再解釈されるんだ!
八っつあん やれやれ、物理学者ってのは、なんだかすげえことを思
いつくもんだな……。そんなふうに難しく考えなくたって、この世の中、
何にも変わりゃしないだろうに。
熊さん 確かにそうかもしれねえな。だけどよ、せっかく生まれつい
たこの宇宙に関して、その成り立ちや性質が詳しく理解できるってのは、
ワクワクする話じゃねえか。それが物理学の、すなわち、物事のからく
りを解き明かす営為の、いちばんの魅力なんじゃねえかな。
ところで八っつあん、あんた、「色も形もない」空間や時間を「無」
だと考えてないかい?
八っつあん そりゃあそうだろ。そこに何かの物質が存在しなけりゃ、
何も起こりようのない「無」に違(ちげ)えねえ。
熊さん ところが、だ。空間や時間は、決して本当の「無」なんかじゃ
ない。本当の「無」ってのは、「時間」「空間」「物質」の三つすべて
が、どれも存在しない状態をいうんだ。
俺たちの宇宙は、そのような「無」から誕生したとされている。それ
こそ「なんだかすげえ」話だろ? 『時空のからくり』の最終第7章で
は、138億年前の宇宙誕生直後に発生した「原始重力波」ってやつが登
場する。この原始重力波は、現時点では観測されていないが、実測され
たら、今はまだ想像の領域にある「宇宙の起源」がかなりハッキリして
くるだろう……。
八っつあん 熊さん、ちっとばかり話しすぎだよ。続きは『時空のか
らくり』の本文で、じっくりな!
*
次回〈「原爆はなぜ、むごたらしいのか」…少年の日の疑問が「名シ
リーズ」を生んだ「物理学者魂」〉は、20230823 公開です。
時空のからくり——時間と空間はなぜ「一体不可分」なのか
重力のからくり——相対論と量子論はなぜ「相容れない」のか
〔Quora〕
日本人の所作として頭を下げる礼がありますが、コンサートの最後な
ど、指揮者や演奏者が日本以外の方であっても観客に向かって頭を下げ
る所作をします。あれは同じ礼なのでしょうか?
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08月22日(火)
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