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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 向田家の人々 〜 字のない葉書の姉 〜
つづけて掲出のことばを口にし、さらにこう付け加える。
「いじめられるかどうかは、この一瞬で決まるんだ」
お辞儀ひとつでも、とらえ方によってはなかなかに奥深いものがある。
夏目 漱石は小説『虞美人草』の中に、「人間の誠は、下げる頭の時間
と正比例するものだ」という一文を綴り込んでいる。
実際には、登校した向田家の子供たちは、教壇の横に立って先生の紹
介を受け、「礼」の号令で、座席にいる子供たちと互いに頭を下げ合う
のが普通だったから、父の助言が取り立てて役に立つことはなかった。
むしろ、このことばは、本人自身に言い聞かせるような内容を含んで
いた。それを知っていて、一席ぶった向田敏雄が御不浄へ行くため朝食
の席を離れると、彼の母と妻はこんな会話を交わしていたという。
「自分のこといってるよ」「聞こえますよ、おばあちゃん」
新任の支店長は、転校生以上に気苦労も多かったのだろう。
この母が亡くなった通夜の晩、向田 敏雄は自宅玄関前にざわめきと
ともに「社長がお見えになった」という声を聞いた。向田 敏雄はすぐ
にすっ飛んでいって、その場に平伏するようにお辞儀をした。普段、家
庭では暴君のように威張り散らしている様子からは想像できない姿だっ
た。それを目撃した長女は、のちに綴る。
「葬式の悲しみはどこかにけし飛んで、父のお辞儀の姿だけが目に残っ
た。私達に見せないところで、父はこの姿で戦ってきたのだ。父だけ夜
のおかずが一品多いことも、保険契約の成績が思うにまかせない締切の
時期に、八つ当りの感じで飛んできた拳骨をも許そうと思った。私は今
でもこの夜の父の姿を思うと、胸の中でうずくものがある」《お辞儀》
すでにお気づきの方も多かろう。長女の名は向田 邦子という。
矢島 裕紀彦 作家 1957‥‥ 東京 /ノンフィクション。スポーツ、
文学、など様々のジャンルで人間の足跡を追う。
── 《心を癒す漱石の手紙 19‥‥‥ 小学館文庫》
《漱石「こころ」の言葉 19‥‥‥ 文春新書》
《文士の逸品 19‥‥‥ 文藝春秋》
《ウイスキー粋人列伝 19‥‥‥ 文春新書》
矢島 裕紀彦・監修《夏目 漱石 100の言葉 19‥‥‥ 宝島社》
矢島 裕紀彦《日めくり漱石 2016‥‥ サライ.jp》夏目 漱石の日々の事跡を年間連載。
https://serai.jp/hobby/169694
〔medical〕
https://www.youtube.com/watch?v=0DVTc5Zlalo(20211222 19:16)
10回脚を振るだけで1万歩のウォーキングより寝たきりのリスクは
半減します!(笹原 健太郎)
メンデル以前の神秘性を示す“万世男系”は、歴史的に意義はあるが、
いまや遺伝子の法則が判明したのだから、厳守すべき理由にはならない。
むしろ“日はまた昇る”“月は沈まず”のような比喩表現にすぎない。
天動説が、古代から永く信じられてきたから、地動説は採用できない
ということにはならない。
(20220106)
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08月22日(土)
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