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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 伊福部 昭 at 鳥取 〜 19140531-20060208 〜
『座頭市』シリーズなどで仕事を共にした勝 新太郎とは「勝っちゃん」
「先生」と呼び合う仲で、後に勝が舞台で座頭市を行う際、オープニン
グは伊福部のボレロ[注 22]でなければならない、と言うことで伊福部
に音楽を依頼したという。
伊福部は、映画音楽では録音テストの際、必ず自ら指揮棒を振った。
伊福部と映画作品でのコンビの長かった指揮者の森田吾一によると、そ
の際、普通の倍の長さの指揮棒を使うのが常だった。また、このテスト
の際の指揮のテンポが次第に遅くなって、スクリーンに映写した画面と
いつも合わなくなるのだが、それは伊福部が音楽の響きをチェックして
いたためだという。
これも森田によると、伊福部のスコアは作曲時間の短さにかかわらず、
非常に細かくしっかりと書き込まれており、曲の途中に複雑な変拍子が
入るのも特徴で、この変拍子を振るのはコツがいるものだった。
怪獣映画においては、楽曲のみならず怪獣の鳴き声や足音なども伊福
部が手掛けている[2][6]。『ゴジラ』では、なかなか決まらず難儀して
いたゴジラの鳴き声の表現に、コントラバスのスル・ポンティチェロと
いうきしんだ奏法の音を使用することを発案したり[注釈 23][27][95]、
劇中での秘密兵器オキシジェン・デストロイヤーを水槽内で実験するシー
ンでは、弦楽器がグリッサンドしながら高音のきしんだトレモロを奏で
た後、ピアノの低音部でトーン・クラスターを奏するなど、映画の公開
された1954年(昭和29年)にはまだ現代音楽界でも認知されていなかっ
た手法を大胆に用いたことは、世界的に見ても特筆に価するものだった
[95]。さらに『空の大怪獣 ラドン』では、ピアノ内のピアノ線を直接
ゴムのバチで叩いたり、『キングコングの逆襲』のメインタイトル曲で
は、同じくグランドピアノ内の弦を100円玉でしごくという奏法を使用
している[96]。怪獣の効果音で最も苦労したものとして、『キングコン
グ対ゴジラ』の大ダコを挙げている[出典 12]。
映画監督の本多 猪四郎によれば、伊福部は打ち合わせの際に映画内
でどのような擬音(効果音)を用いるのか細かに尋ね、効果音と同質の
音楽で相殺しないよう相反する性質の音をつけていったという[94]。平
成ゴジラシリーズの監督を務めた大河原孝夫は、伊福部について演出家
の意図を尊重していたといい、たとえ楽曲を用意していたシーンでも不
要と判断すれば曲を外すことに異論は出さなかったという[97]。
怪獣映画においては、怪獣ごとにライト・モティーフを設け、対決シー
ンではそれらを紡ぎあげてバトル音楽とする手法をとることが多い[38]。
また、怪獣との戦いの合間に人物の会話が行われるような場合でも、カッ
トごとに音楽を区切ることはせず、1つのシーンとして楽曲を長くつけ
るのも特徴である[6]。
「◯◯マーチ」と通称される曲も多いようにマーチ調の楽曲も得意とし
ているが、伊福部はマーチを書く際は軍隊行進曲にならないことを最も
注意していたという[6][注釈 24]。
『フランケンシュタイン対地底怪獣』では、伊福部はフランケンシュタ
インのテーマ曲のためにバス・フルートという通常のフルートより低音
の楽器を日本の映画界で初使用している。この楽器は当時日本には1本
しかなかった非常に珍しいもので、音量の低さからオーケストラ演奏で
は稀にしか用いられないものだが、伊福部は「映画音楽しかできません
ね」と、マイクロフォンを用いることで効果的な旋律を実現している[9
8]。
伊福部による怪獣映画の楽曲では、管楽器の低音を用いることが多いた
め、昭和期の気の知れた演奏家たちからは「チューバやトロンボーンの
ギャランティは倍にしてくれ」と言われたこともあったという[99]。ゴ
ジラシリーズの楽曲については、きれいな音ではないほうが良いことも
あると語っている[40]。
『ゴジラ』での「平和の祈り」など、人間の本質を表現するために合唱
曲を用いることも多い[6]。一方で、本多によれば、映画『モスラ』で
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05月31日(日)
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