ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
[1050824hit]
■ パリ五輪 〜 Olympiad 33 Paris 20240726-0811 France 〜
硬化性疾患などがある。多くの動物ではいくら環境条件などを整えても
このような生理機能の低下が起き(老化し)誕生以来一定期間以内に死
に至る寿命が存在する。
ヒトでは肥満も痩せすぎも寿命短縮のリスク要因となる。喫煙、糖尿病、
高血圧などは老化を促進する。スポーツ習慣は老化を遅らせる[3]。
老化の原因
動物個体の老化の原因ははっきりとは解明されていない。老化の原因に
関する仮説(老化仮説)には、プログラム説、活性酸素説、テロメア説、
遺伝子修復エラー説、分子間架橋説、免疫機能低下説、ホルモン低下説
などがある[4]。
ただし、よく誤解されるが、下記は動物のしかも一部の種(具体的には
脊椎動物のみであると思われる)にだけ成立する。例えば多細胞生物で
も植物や菌などの細胞、あるいは動物でも海綿動物や扁形動物の体細胞
ではテロメラーゼは高い活性を示し、ガン化しない通常の細胞でも「不
死」である。これらの種では寿命も確認できないものが大多数を占める。
昆虫の体細胞のテロメアは様々な機構で延伸され無限に分裂できると思
われているが、昆虫の個体には加齢に伴う機能の低下が認められ(老化)
、明確な寿命が存在する。また、光合成を行う緑色植物の細胞は動物細
胞よりも遙かに大きな活性酸素ストレスにさらされるが、動物における
老化のような現象は認められない。
プログラム説
老化を引き起こす特定の遺伝子が存在するという説[4]。それぞれの細
胞には、分裂できる限界がはじめから設定されており、その回数を迎え
て分裂ができなくなることにより老化が発生するという。分裂できる限
界数は、種によってまちまちであるが、概ねその種の寿命と比例してい
る[5]ことから現在有力な説のひとつである。テロメアは細胞分裂の度
に短くなる[6]ことから、このプログラム説の機構を行う部分であると
される。
ヒトの細胞の分裂限界(PDL:population doubling level)(=ヘイフ
リック限界)は50で最大寿命は約120年、ウサギではPDL20で最大寿命は
約10年、ラットではPDL15で最大寿命は約3年で、PDLと最大寿命とが直
線的な関係がみられる[7]。
この説における解決法としては現在、テロメラーゼが有力である。がん
細胞においては、テロメラーゼが高活性化することにより細胞が不死化
する[8]ことから、幹細胞のテロメラーゼの活性をコントロールするこ
とで不老不死の実現が可能なのではないかと考えられている。
遺伝修復エラー説
細胞の遺伝子が障害を受けた後に修復できないまま組織の機能が低下す
るという説[4]。ウェルナー症候群をはじめとする早老症ではヘリカー
ゼというDNA修復に関与すると推測される遺伝子に異常があった[9]こと
から考えられた。
DNA分子の損傷は1日1細胞あたり最大50万回程度発生することが知られ
ており、DNA修復速度の細胞の加齢に伴う低下や、環境要因によるDNA分
子の損傷増大によりDNA修復がDNA損傷の発生に追いつかなくなると、
老化(細胞老化)と呼ばれる、不可逆な休眠状態に陥る
アポトーシスあるいはプログラム細胞死と呼ばれる、細胞の自殺が起こ
る
癌化
のいずれかの運命をたどることになる。人体においては、ほとんどの細
胞が細胞老化の状態に達するが、修復できないDNAの損傷が蓄積した細
胞ではアポトーシスが起こる。この場合、アポトーシスは体内の細胞が
DNAの損傷により癌化し、体全体が生命の危険にさらされるのを防ぐた
めの「切り札」として機能している。
この説における解決法としては、前述のDNA修復遺伝子を活性化させる
などして、修復速度が突然変異の蓄積速度を上回る状態にすることが考
えられる。
活性酸素説
ミトコンドリアで産生される活性酸素が細胞に障害を引き起こすという
説[4]。代謝率の高い(つまり活性酸素の発生量の多い)生物ほど寿命
が短くなる傾向にある[10]ことから考えられた。また、この活性酸素が
テロメアの短縮に影響しているという説もある[11]。
[5]続きを読む
07月26日(金)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ
[4]エンピツに戻る