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与太郎文庫
by 与太郎
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■ こけたらあかん 〜 don't fall 〜
 収録された50のエッセイの冒頭には、福岡 伸一や寺田 寅彦、
レイモンド・チャンドラーなどの文章が引用され、これらの著者の作品
へと読者を誘う手引きにもなっている。
 
「じつは、そのかたちは思わぬ収穫だったんです」と牟田さんは話す。
原稿を書き始めた当初は、「校正とは」と身構えたものが多く、自分で
も面白くなかったという。あるとき編集者から「このスタイルだと書き
やすいみたいですね」と言われ、今の形式に揃えた。
 
 校正への向き合い方がよくわかるのは<「本来は誤り」であっても>
と題されたエッセイから文章を引用、「聴こえる」と「聞こえる」を例
に自身の考えを綴っている。
 
── 五十嵐 大《ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こ
えない世界を行き来して考えた30のこと 20210210 幻冬舎》
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4344037383
 
 手元の辞書では、話に耳を傾ける際でも「聞こえる」が正しいとあっ
た。多くの辞書にあたっても「聴こえる」を載せているものは見つから
なかった。
 
 ゲラ(校正刷り)を戻す際、辞書のコピーを添付し、「聴こえる」は
「『本来は誤り』とする辞書もあるようです」と鉛筆で記した。
「だけど、しばらく心の中はもやっとしていました」という。「誤り」
かもしれないが、著者にはそう書く理由があったのではないか。
 
「著者に『校正』は絶対でない、注意喚起くらいに思ってもらえたらい
い。鉛筆を見て、ああここが気になったんだ。読者もそうかもしれない
から検討してみよう。そう考えてもらえたら、目的は達成したことにな
ると思っています」
 
 赤字で記すのは明らかな間違いに限り、疑問は鉛筆にする。校正中に
消しゴムをかけることが度々ある。
 
「そうやって迷っている時間が結構あります。著者にどんどん聞けてし
まえたら早いし楽だろうと思います。けれども、わたしが育った現場で
は、聞くべきことを絞って簡潔に聞きなさいと教わってきましたから」
   
「最近ちょっと嬉しかったこと」を訊ねると、「夕焼け空」と答えた。
「仕事の手を止めて、廊下まで見に行ったりするんです。一瞬ですけど、
飽きないですね」
https://dot.asahi.com/wa/2022092800021.html
 
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09月29日(木)
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