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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 第二志望の人々 〜 リコール忠臣蔵 〜
「昨日の今日では、断りにくいよ」「なに、わたしが断ってきます」
かくして《委任状》や《購入契約書》が、つぎつぎにカバンの中から
出てきたのである。さいごに彼は、鼻歌を歌いながら帰っていった。
このエピソードは(他の事例は知らないが)与太郎の記憶において、
重要な位置を占めている。当時は与太郎自身もセールスマンだったから、
こんなに自信たっぷりに売りつけられたことに、おどろいた。
結婚披露宴が終ると(会場の玄関に)コロナ・ハードトップが横付け
されたのは、かくなる事情である。そのあと与太郎は、一年ももたずに、
(毎月平均7万円の出費に耐えきれず)この愛車を手ばなした。
いま思うに、このとき三菱の販売会社の上司は、新米社員の報告を、
だまって聞いたのだろうか。所長以下、なにがなんでも与太郎の家まで
押しかけて、解約撤回を要求すべきではなかったか。
三菱の上司は「そんなら他で取りかえせ」とでも叱ったのだろうか。
受付に《解約届》をもってきた男に、だれも声をかけなかったのか。
そんな企業体質が、のちの自動車業界を色分けしたのではないか。
逆の想像もできる。トヨタの受付に、三菱のセールスマンが意気揚々
とあらわれて《解約届》を差しだしたら、トヨタの連中は黙ってしまう
のだろうか。血相かえて顧客のところへ馳せつけるような気がする。
その後、三菱自動車からは誰ひとり連絡がなかった。かわったことと
いえば、最初にセールスマンを紹介してよこした近所の整備屋が、それ
きり道で会っても挨拶しなくなった(紹介報酬は当時一万円だった)。
◆ はるかなる灯
後年、地方在住者となってから三菱の軽乗用車に乗ったことがあるが、
ひどいポンコツだったので、これで品質や性能を論じることはしない。
いま身辺に三菱自動車はないが、二年前に買った電化製品はある。
近年のエアコンは、あまりに静かなため、電源が入っているかどうか、
ときどき確認しなければならない。あまりにも暑すぎて利かなかったり、
冷えすぎるときには、いったん電源を切ることが必要なのだ。
三菱のビーバー・エアコンでは、電源ランプが点灯しているかどうか、
判別しがたい。その理由は、レンズの位置がどっちつかずだからである。
座ったままで見にくいからといって、立ちあがってみても、見にくい。
こういう欠陥を、なぜ設計者や製造工場が気づかないのか、不思議で
ならない。一年以上使ってみてから、ようやく思いあたるので、店頭や
カタログ上の情報からは発見できないのだ。 (Day'20040810-0902)
↓ エアコン(続々)
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=20021225
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創業記念日の初公判 〜 大企業の老化 〜 三菱自動車134年史
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リ・タイヤ 〜 ブランド脱落 〜
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=20040325
09月02日(木)
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