ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
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■ 幻の《弦楽技法》
 Sub.:幻の《弦楽技法》について

 雲下 泰幸 様
 詳細なご返信をいただき、ありがとうございました。
 ぜひともコピーして拝読いたしたく、ご高配ください。

 わたしの記憶では、1956〜1958年代に読んだ縦書き印刷でしたから、
“原序”が述べている前著《バイオリン技法》だったかもしれません。
 いずれにせよ、この壮大な目次からみて、幻の《弦楽技法》の著者で
あることは明白です。なにしろ、延75人の演奏家との対話から生れた
大著であり、レコードを聴きくらべた解説書ではないのです。
 わたしは、いまや弦楽器を弾くことはできませんが、あらためて読み
かえす期待に、大いなる感動を抱いています。
 とりいそぎ感謝と、お願いまで。        阿波 雅敏
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 ふしぎなことに、このような大著がなぜ発見できなかったのか。
 なぜ国会図書館や東京芸術大学の図書館に所蔵されていなかったのか。
 出版関係者とは“オントモ”こと音楽之友社・編集部のことである。
かつて知遇を得た編集長・辻修氏は退職されているが、ここに電話して
「そんな本は知らない」と言われれば、ふつうは断念せざるを得ない。
 音楽書にくわしい古本屋を紹介してもらったが、どこも「知らない」
という。このとき、ついでに全音楽譜出版社に電話していたら、すぐに
判明したはずであるが、電話しなかったのは、N響ヴァイオリニストが
HPで「面白くない」と書いていたのが根づよく残っていたのである。
 若いころ“今世紀最高の音楽評論家になる”と豪語していた出谷啓氏
も「聞いたことがない」という。なんでも東北地方に「カタログが背広
を着たような博識の古書店主が知ってるかもしれん」というので「その
人を紹介してくれないか」というと、「企業秘密やから教えるわけには
いかん」などという。なるほど、そういう業界かもしれない、と察して
書きとめていたのが「出谷&新井両氏への未投函書簡」である。
(新井正夫氏は、もと学習院女子高等部の数学教諭。暦学研究を通じて
郵便のやりとりが続き、教わり励まされることが多かった。また、往年
のアイザック・スターンのファンでもある)

 
■2003/02/18 (火) 始終相談

 雲下氏は、昭和47年に発行された本を、大学時代に購入されたという
から、1972−22歳=1950年生れとすれば、いま五十余歳とみられる。
(このような推理的逆算法は、与太郎が《生没総譜》の編集にあたって
しばしば概算する習性による。あてずっぽうでも、最初に計算したとき
の記憶が、後で情報や資料が混乱した場合、なんらかの手がかりになる
ことがある)
 雲下氏が、ネット・サーフィンで目をとめられたように、これまでに
いくつかの掲示板サイトに「幻の弦楽技法」について投稿してきたが、
ほとんど反応がなかった。探しもの専門のサイトも、まったく無反応で、
やがて与太郎自身のまぼろしではないかと思うこともあった。
 最後の掲示板で「この本が、実在したことだけでも確認したい」と書
き添えたのは、その不安のあらわれである。
 こんど雲下氏の好意で、ふたたび読みかえすことができるとしても、
もはや与太郎は、弦楽器を弾くことができないので、弦楽器に関する意
見を述べるとしても、実態のない虚論にすぎない。
 与太郎の“対話シリーズ”構想は、つぎのように連鎖している。

 マーテンス《バイオリン技法 195・ 全音楽譜出版社》?未確認
 マーテンス《弦楽技法 19720310 全音楽譜出版社》
 コレドール《カザルスとの対話 19670920 白水社》
 オストワルト《化学の学校 1956 岩波文庫》
 エッケルマン《ゲーテとの対話(上中下)19690317 岩波文庫》
 阿波 雅敏《日本の弦楽四重奏談 19690712&1112 月刊アルペジオ》
 阿波 雅敏《弓弦十話 19700401-0601 Awa Library Report》

 “四重奏談”とは四重奏団、および“始終相談”の駄洒落である。
 のちに、江藤俊哉氏と会える機会を逃して、対談には至らなかった。

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02月17日(月)
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