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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 中学生諸君! Basic 5
たとないチャンスを与えてくださった各界の関係者ならびに協力者の方
々に、心から感謝する次第です。           (19841201)
 
◆ 柔軟な発想を…岡山大学教育学部教授(解析学・応用数学)坂田 〓
 
 小学校での算数ぎらいをなくすには、まず柔軟な思考が必要です。
 子供はそれぞれの生活環境や体験によっていろいろなイメージをもっ
ていて、解答に至るまでの過程が、それぞれ異なる場合が多いんです。
 たとえば8個のケーキを40円の箱に入れて 600円払いました──とい
う問題でも、ある子供はケーキ1個づつを8個の箱に入れたと考えます。
どちらが正しいということでなくいろいろな解きかたができる点を評価
して、お母さんが第一発見者となって、ほめていただきたい。つぎの段
階では、算数には約束事があることを、ていねいに教えるわけです。
 600-40÷8 という式は、考えの順序としてまちがいではありません。
×÷は、先に計算するというのが約束事であるために、(600-40)÷8 と
書く必要が生じます。
 中学になると、こうした約束事がたくさん出てくるので、柔軟な思考
をたいせつにするとともに、約束事そのものと上手につきあうことが数
学と仲よくするための第一歩になります。
 
◆ 解けても分らない………広島大学教育学部教授・理学博士・那須 俊夫
 
 中学の数学を代表するのは、放物線です。コンパスや定規で描けない
曲線──いったん上ったものが降りてくるのを、不思議に感じるのが、
数学的センスでしょうね。ところが、そういう基本を知らなくても練習
問題だけくりかえしていると、正解が得られる。このほうが実は困った
ことなんです。勉強というよりトレーニングにすぎないので、共通一次
までは、そこそこの成績であっても、二次試験では通用しない。
 グラフを折線で描く受験生が多いけれど、そのあと数学を学ぶのは、
ちょっと無理でしょうね。数学を面白くない、という人たちは、たぶん
解きかたの練習しかしなかったので、興味がもてないのは当然です。こ
ういう現状のレベルを、何とかするには、教える側の工夫が、もうすこ
し必要かもしれませんね。
 
◆ なぜ?に解答を…………………山口大学教育学部助教授・近藤 彰
 
 中学生の心理は、学習の面で「学」の時代に入っています。つまり、
学問的なものの見方が強まる時代と考えられます。その反面で、あまり
理論的に過ぎると、思考の面で疲れてしまう弱点もあります。ようやく
大人の仲間入りをはじめる時代でもあるわけですが、今の学校の体制か
らすれば、かなり「管理規制」が強いと思われます。
 この「学」と「管理規制」が、うまくかみ合うような学校生活が送れ
るならば、彼らの将来はすばらしいものとなりましょう。
 髪型やスカート丈の規制に対して、生徒たちの「なぜ?」という疑問
に対する学校側の説明が、彼らの求めている解答にマッチしない面も、
多々あるようです。そのこと以上に必要なのは「なぜ学ぶのか」「なぜ
生きるのか」という疑問を持ちながら、十二分に先生に訴えられないま
ま、日々が流れていることです。親もふくめて、教師が見すごしている
ところに問題点があると思います。
 
◆ 偏差値はさけられない………元岡山県教育委員会教育長・小野 啓三
 
 戦後まもないころの高校受験は、九教科のうち五教科選択でした。ペ
ーパーテストでは評価しにくい音楽や体育などは内申書を参考にすると
いうことで、五教科になったり三教科になったりして、現在の五教科に
落着したのも、国公立大学の共通一次とつながるからでしょうね。社会
人になって、競争社会に出るためには、みんなが同じことを考えるのは
やむを得ません。その中で、偏差値という考えかたが民間から登場して、
たちまち教育界に普及してしまった。ペーパーテストに関するかぎり、
その確率は天気予報の比でなく、ついに合格するための受験校まで特定
できるところまで発達したといわれる。もちろん、おおくの反対もある

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01月01日(火)
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