ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
[1062260hit]

■ 万巻・万感・満願 〜 映画千五百篇 〜
面倒をかげた。深く感謝の意を表する次第である。
 なおこの本の書名についても一言しておきたい。私は初め『外国映画
名作全史』としていたのだが、出版社の意向で『世界映画名作全史』と
いう風に変更された。おそらく営業上の理由によるものだろうが、“世
界”というと、その中には当然“日本”もふくまれなければならずまた
視点の据え方も、地球儀を眺めるような抱含性をもつことが要求される。
ところが私の場合は“はじめに”おことわりしたように。これはあくま
でも日本にわたってきて、日本人の眼にふれ、日本の心に印された名作
の感銘を中心にして一つの映画史をまとめたのである。したがって地球
儀をぐるりと眺めるような離れた眼とは根本的に違う発想から始まって
いる。私としては書名と内容とのそうした違いにある恐れを抱かずにい
られないが、出版界には従前から“日本文学全集”“世界文学全集”と
いった用語の使いわけかたもあるので、その感覚で受けとめて頂ければ
差支えないものと思い、出版界にはまったくの駆け出しとして敢えて異
を唱えなかった。
 さて何はあれ、いま四百字詰原稿紙にしてざっと二千枚に及ぶ労働を
し終って、私はボロ綿の如く疲れている。正味半年間の仕事としてはさ
すがにちょっと辛度かった。しかし毎度のことだが、ごの仕事は駄目で
も今度こそ、この次ぎにこそ、といった都合のよい考え方が頭を拾げて
きて、疲れはてた体に新しい夢を芽生えさせる。いまもまたそんな夢が
顔を覗がせ、しだいに大きくふくれ上りつつある。五体の疲れはふとそ
んな夢で忘れるのである。
 その新しい夢について今はなにも語るまい。夢とは語るものではなく、
見るものだからだ。私はまた新しい夢を見、それを黙って書き綴らなけ
ればならない。そうすること以外に私の生きようはないからだ。まもな
く新しい年がくる。この本を読んで下さる諸姉諸兄の御多幸を祈って、
拙ないあとがきを終わる。
  昭和四十九年冬、多摩丘陵高幡不動の寓居にて── 猪俣 勝人

http://twitter.com/awalibrary
http://twilog.org/awalibrary(ツイログ検索)
http://booklog.jp/users/awalibrary(書籍目録)
 |
http://q.hatena.ne.jp/adlib/(はてなQ&A)
http://d.hatena.ne.jp/adlib+bilda/(準公開)
http://chiebukuro.yahoo.co.jp/my/myspace_note.php?writer=gswyn755
 |
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/list?id=87518&pg=000000
http://www.enpitu.ne.jp/usr8/bin/day?id=87518&pg=19790807
http://www.enpitu.ne.jp/tool/edit.html(与太郎文庫)

 
(20170920)
 
┌┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┐
↓=Non-display>

08月07日(火)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る