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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 尊属殺人罪が消えた日
んだとは何を意味しているのかと、被告人は考えたことがありますか。
綾子:それは女の人が男の人を弄んだということだと思います。
裁判長:被告人は小さいときに、心ならずも父親に手をつけられたの
であるから、もとはといえば父親の方が悪いといえるかも知れない。し
かしその後被告人は父親と十何年間も、夫婦同様の生活をしてきたのに、
父親が働きざかりをすぎた年頃になって、被告人が父親のところを去り
若い男といっしょになると言えば、父親としては被告人が男一人を弄ん
だことになるのだというような趣旨のことを言ったようにもとれますが、
被告人もそのように考えたことがありますか。
綾子:そう言われればそうだと思います。(略)
裁判長:被告人とお父さんの関係は、いわば“本卦(ほんけ)がえり”
である。大昔ならばあたりまえのことだった……。ところで、被告人は
お父さんの青春を考えたことがあるか。男が三十才から四十才にかけて
の働き盛りに何もかも投げ打って被告人と一緒に暮らした男の貴重な時
間を、だ(略)ともかく正当な罪の償いをしたうえで、きれいな身にな
って考えてみることだね。〜第二審被告尋問
「懲役三年六月」〜控訴審判決(19710512)
「原判決を破棄する。被告人を懲役二年六月に処する。この裁判確定の
日から三年間、右刑の執行を猶予する(略)尊属に対する尊重や報恩と
いう自然的情愛ないし普遍的倫理の維持尊重の観点からは尊属殺人を普
通殺人より重く罰することは不合理ではないが、刑法二〇〇条が尊属殺
の法定を死刑・無期に限定している点において甚しく不合理であり、憲
法一四条に違反する」〜最高裁判決(19730404)
…… 「父の子である私の長女を身ごもってしまいました」
(司法警察員に対する綾子の供述書)以下、仮名。
http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4480854088
── 谷口 優子《尊属殺人罪が消えた日 19871106 筑摩書房》
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04月04日(水)
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