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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 同窓会始末
 という次第で、私はもちあわせの小切手を彼にあずけたわけです。食
事のあとは、結局飲むことになりました。私設同窓会も宴たけなわのこ
ろ、突如彼が叫びました。
 「自転車はやっぱりアブナイぜ」
 「アブナイかな」
 「アブナイ、だからこの小切手は飲もう」
 現在、私が自転車を持っていないのは、こういう事情によるものです。
目下、五年ぶりにクルマを買うべきか、を検討中です。
 
 ■ 近眼の射手
 
 事務担当幹事などといっても、私ごときは十二月から、新規にレコー
ド屋を開業することに右往左往しており、他にもあたらしい仕事を手伝
ったりしておりましたので、返信はがきの宛先の地に、表札を出したの
が、前月二十五日でしたから、せっかく「快諾」の便も、あやうく逆返
送されそうになった例もあります。
 せっかくといえば、それぞれ口答・書面の「快諾」をいただいた中に、
タイプ印刷にかける段階で、二三の御名をおとしてしまったことです。
とくに書面でいただいた方には、おりかえし、失礼を詫びることもでき
ましたが、口答しかも人づての方には、時機を逸してしまい、同じ人づ
てでご容赦ねがったようなことです。
 どうも、このあたりから、私の事務ペースがおかしくなったようです。
幹事三人のやりとりが、いかにも象徴的でした。
 「オレが機関銃でダダダダッと打つから、オマエは、ライフルで残り
を狙撃しろ」
 「オレは、近眼だから、どうかな」
 「するとオレは、あとでタマひろいか」
 なにしろ、延五百数十名が対象です。
 十数年も前の、古い名簿による郵送でしたから、予期せぬでもなかっ
たのですが、発起人だけでも約三分の一が転居先不明その他の理由で返
ってまいりました。この分でいけば延五百数十名のうち、実際に連絡で
きるのはどれほどか、と内心案じてはおりました。
 
 ■ 銃後の花
 
 女性のほとんどは、姓が変っているはずで、さてどうするか妙案もな
かったところ田村睦さんからの返信で、高校同期の女性ばかり、やはり
私設同窓会を何度か続けているので、その名簿もありますよ、とのこと、
それならば、とすっかり安心してしまいました。
 大前いく子さんが、同志社同窓会本部に、おつとめである、と知った
のは年末から正月にかけてでした。公設同窓会のプロフェショナルにち
がいなく、田村さんと共に、宛名の追跡をお願いできたのは、闇夜の光
明というべきでした。
 もっとも、安心する材料が増えると、一向に事務ペースがはかどりま
せん。
 最初から会場に予定していた《ベラミ》の森川支配人には、おそくと
も年内には出席者の概数がわかりましょうから、多いようならホステス
もお願いできますよ、などと吹いたものの、結局は最初にして最後の、
私的な発起人会召集が、たったひとつの、はかどり具合となりました。
 
 ■ 赤と黒
 
 師走二十六日の夜八時、誰がどう考えてもあわただしい頃に《ホテル
・フジタ》ロビーに、とにかく十人ばかりあつまってくれました。佐々
木幹事の機関銃乱射で、とりあえずという格好ではありましたが、総数
五百数十名宛の、案内状草稿を回覧、おおむねは幹事三人に一任の上、
協力を約していただきました。
 このときの主な議題、というより関心事はまず、ホステスが一次会で
呼べるかどうか、それには予算面で可能かどうか、すなわち出席者数は
どれほどか、という順に移行しました。
 十年前、いや五年前であったなら、ホステスよりも、同期の女性諸姉
の出席予想に、終始したのではあるまいか、と思われます。その種の議
論も、皆無ではなかったものの、まさしく「おりから三十世代」の観、
ひとしおでした。
 念のため申しそえますが、三十世代の女性が、一般的な意味で、女性
的魅力に欠ける、という結論ではないのです。《ベラミ》にも三十世代
のホステスは、かなりいるわけで、すると、どうなのか、うまく分析は
できませんが。
 その後の発起人会は、減ったり増えたりしながら、というのも、タイ

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01月15日(金)
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