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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 一聴一席E異国の楽の音 ジェラール・ショーム日仏学館長をたずねて
謡曲をフランス語でうなってみてもダメでしょうか(笑)
ショーム とてもむずかしい問題だ(笑)しかし フランス人にとって
ドイツ語の発音よりは日本語の方がやさしいこともあるし 新しいもの
では いろいろに試みるべきでしょうね
── 日本にこられて どれくらいになりますか
ショーム 1年ちょっとです パリを離れて12年になりますが フランス
では伝統的なものは田舎でしか見られなくなった 日本 とくに京都は
都会にいてもそれが現代的なものとうまく混ざっている点で たいへん
気に入ってます 私は 個人的な興味から 京都のあらゆるお祭に出か
けて写真を撮ったり 録音を採ったり 劇場や美術館に足を運びます
そして料理もいろいろ食べてみる 実は今夜も 妻と一緒に日本映画を
観ることになっているのです (1969・9・4/館長室にて)
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2階東の窓から、大文字山と京都大学がみえる。すでに送り火を了え
た大文字と、紛争再開を目前にひかえた時計台との組合せが、午後4時
の陽に照らされて、いかにも目あたらしい借景に思われた。若々しい館
長は、手もとの雑誌を展げ、辞書をとりよせ、はてはマイクロフォンの
位置を修正されるなど、ことばのできないききてを終始気づかってくだ
さった。ことばは平井美沙子女史に通じていただき、以下に大意をまと
めた。異邦人の国異国の鳥たちの国フランスの文化は、はるか彼方の借
景ではあった。(まえがき→P183)
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十字屋楽器店・田中昌雄社長の紹介で通訳をつとめた平井美沙子女史
とは初対面だった。おそらくフランス歌曲の声楽家であろうか、たがい
に自己紹介も名刺交換もしないで、このインタビューは始まった。いち
ばん面食らったのは、若き館長本人かもしれない。それぞれの相互関係
もわからない三人の異邦人を前に、すっかり緊張したようである。
ひとこと質問すると、ひとしきり館長の答がつづく。しかし通訳され
た日本語は、ふたこと三言にすぎない。そこで、ややくわしく関連質問
すると、こんどは通訳がふりむいて「それは、あなたの意見ですか?」
と、事前に反問されるので、どうにも困った。まるで彼女はフランス語
をしゃべる自分のほうがエライのだ、と信じているふうだった。
09月04日(木)
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