ID:87518
与太郎文庫
by 与太郎
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■ 戦艦大和の真実
の」と削除を要請した。吉田氏からは「次の出版の機会に削除するかど
うか、充分判断し決断したい」との返書が届いたが、手首斬りの記述は
変更されなかった。
 
 松井さんはこれまで、「海軍士官なので言い訳めいたことはしたくな
かった」とし、旧軍関係者以外に当時の様子を語ったり、吉田氏との手
紙のやり取りを公表することはなかった。
 
 しかし、朝日新聞が四月七日付の天声人語で、同著の手首斬りの記述
を史実のように取り上げたため、「戦後六十年を機に事実関係をはっき
りさせたい」として産経新聞の取材を受けた。
 
 戦前戦中の旧日本軍の行為をめぐっては、残虐性を強調するような信
憑(しんぴょう)性のない話が史実として独り歩きするケースも少なく
ない。沖縄戦の際には旧日本軍の命令により離島で集団自決が行われた
と長く信じられ、教科書に掲載されることもあったが、最近の調査で
「軍命令はなかった」との説が有力になっている。
 
 松井さんは「戦後、旧軍の行為が非人道的に誇張されるケースが多く、
手首斬りの話はその典型的な例だ。しかし私が知る限り、当時の軍人に
もヒューマニティーがあった」と話している。
 
 ◇
 
 『戦艦大和ノ最期』 戦記文学の傑作として繰り返し紹介され、ほぼ
漢字と片仮名だけの文語体にもかかわらず、現在出版されている講談社
文芸文庫版は10年余で24刷を重ねる。英訳のほか市川崑氏がドラマ
化、朗読劇にもなった。昭和21年に雑誌掲載予定だった原文は、連合
国軍総司令部(GHQ)参謀2部の検閲で「軍国主義的」と発禁処分を
受けたため、吉田満氏が改稿して27年に出版したところ「戦争肯定の
文学」と批判された。現在流布しているのはこの改稿版を下敷きにした
もの。原文は米メリーランド大プランゲ文庫で故江藤淳氏が発掘し、5
6年刊の自著『落葉の掃き寄せ』(文芸春秋)などに収めている。
 
20050620 (月) 14:47:00 産経新聞
http://news.goo.ne.jp/news/sankei/shakai/20050620/m20050620000.html
 

04月07日(土)
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