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与太郎文庫
by 与太郎
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■ 石原式色盲検査表
色合の選択等にあたって、随分不都合の多いことであろうが、自然は誠
によくできるものである。
 
 赤緑色盲は青と黄が人なみに見えて、赤と緑との区別のできないもの
である。しかし赤と緑との全然区別のできないようなのはなくて、多く
は大きな鮮かな色ならば、赤でも緑でも見えるが、視角が小さくなって、
色が不飽和になれば、赤と緑を誤る程度のものである。
 全色弱は赤緑青黄色弱とも云うべきもので、色が鮮かで大きい場合に
は、何の色でも見分け得るのであるが、もし色が不飽和で小さい時には、
赤と緑と、また青と黄とを看誤るものである。これは全色盲とは違って、
視力等には変りがない。ただ色覚だけが減弱しているのである。
 
  二 色盲の発生並びに遺伝
 
 先天色盲は眼の発育不全である。何故に発育不全に因って前に述べた
ような四種類の色盲ができるかというと、フランクリン、シェンク等の
仮定説によると人の眼は胎生期に最初、全色盲であった。即ち明暗だけ
が見えて、色は見えなかった。それが発育の第二期には先ず青と黄とが
見えるようになる。この青と黄とは互いに余色であって、これを合せる
と無色になる。次に発育の第三期にはその黄を感ずる機能が、更に分化
して、赤と緑とを感ずるようになる。実際、赤と緑とを合せると黄にな
る、即ち発育の終りには、青と赤と緑との三原色を感ずるようになり、
この三原色の種種な配合によって、宇宙間の総ての色を感ずるのである。
今この色覚発育の状況を略図で示せば、次のようになる。(図)
 

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 以上は一の仮定説に過ぎないのであるが、今日これ以上確かなことは
わかっていない。故に今仮にこの説を正しいものとすれば、色盲の発生
は次のように説明することができる。即ち色覚の発育がその第一期で止
まったものとすれば、全色盲となり、また第二期で止まったとすれば、
赤緑色盲ができる。もしまた発育の第二期が、不完全に行われたとすれ
ば全色弱、発育の第三期が不完全に行われたとすれば赤緑色盲となる理
である。
 このように色盲は眼の発育不全であるから、従ってその原因としては、
先ず第一に遺伝関係を考えなければならない。そして実際全色盲は両親
の血族結婚から起る場合が多い。また全色盲の反対である先天夜盲も、
また十中の七八は血族結婚に因って起るものである。赤緑色盲にもまた
遺伝関係は確かに認められる。兄弟が共に色盲であると云う例は少くな
い。殊に面白いことは、色盲が健常な女子によって男系に遺伝すること
である。即ち色盲の素因を持っている女子は、たとえ自分が色盲でなく
ても、色盲をその子に伝える性質を持っているのである。
 
  三 色盲のために起った過誤
 
 男子の 4-5%が色盲であるとすれば、世の中に色盲者の数は非常に多
いものである。しかし、われわれは色盲のために過の起った実例を、あ
まり多く耳にしない。また色盲者自身も、自分で色盲のあることを発見
する者は少なくて、多くは学校の身体検査などで偶然発見されて、驚く
のである。これは何故であるかと云うに、一つは色盲が先天的であるか
らである。即ち一旦色覚の発育したものが、後になってから、色盲にな
れば、非常に不便を感ずるのであるが、先天色盲は未だ嘗てその色を見
た経験がないのであるから、他人もまた自分の通りだと思っている。従
っていっこう不便とも思はないのである。例えば未だ嘗て汽車や電車を
見たことのない者が、その便利なことを知らないと同様であって、かよ
うな人々は決してわれわれが、たまたま電車の不通になった時に感ずる
ような不便を日常感じているわけではない。
 また色盲者は実際過誤を生じても、これを知らずにいることがある。
例えば紅葉を見て緑樹と思い、また緑葉の中に赤い花の咲いているのが
見えなかったとしても、通常大きな差支は起らないで、そのまヽ済んで
しまうが、たまたま他人から注意を受けたりした時などに、始めてその

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01月01日(土)
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