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Kenの日記
by Ken
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■レスピーギのローマ三部作
図書館からレスピーギの「ローマ3部作」のCDを借りてきて聞いています。演奏はアンドレア・バティストーニ指揮の東京フィルハーモニー管弦楽団。2013年に行われたコンサートの実況録音盤です。指揮者のバティストーニは1983年イタリアヴェローナ生まれの俊英です。大変な名演奏だと思いました。イタリア生まれの指揮者だからと思うのですが、イタリアローマの「空気」が感じられる演奏だと思いました。久し振りに「ローマ旅行」のことを思い出しました。
「ローマ3部作」をジックリ聞くために便利なように作曲者「レスピーギ」が残してくれた各曲の解説書きを記録してきます。
「ローマの祭り」
第1曲「チルチェンセス(古代円形競技場)」
チルコ・マッシモ(競技場)の上に威嚇するように空がかかっている。しかし今日は民衆の休日、「アヴェ・ネローネ(ネロ皇帝万歳)」だ。鉄の扉が開かれ、聖歌の歌唱と野獣の咆哮が大気に漂う。群集は激昂している。乱れずに、殉教者たちの歌が広がり、制し、そして騒ぎの中に消えてゆく。
第2曲「五十年祭」
巡礼者達が祈りながら、街道沿いにゆっくりやってくる。ついに、モンテ・マリオの頂上から渇望する目と切望する魂にとって永遠の都、「ローマ、ローマ」が現れる。歓喜の讃歌が突然起こり、教会はそれに答えて鐘を鳴り響かせる。
第3曲「十月祭」
カステリ・ロマーニでの十月祭は、葡萄で覆われ、狩りの響き、鐘の音、愛の歌にあふれている。その内に柔らかい夕日の中にロマンティックなセレナードが起ってくる。
第4曲「主顕祭」
ナヴォナ広場での主顕祭の前夜。特徴あるトランペットのリズムが狂乱の喧騒を支配している。増加してくる騒音の上に、次から次へと田舎風の動機、サルタレロのカデンツァ、小屋の手回しオルガンの節、物売りの呼び声、酩酊した人達の耳障りな歌声や「ローマ人だ、通りを行こう!」と親しみのある感情で表現している活気のある歌などが流れている。
「ローマの噴水」
第1曲「夜明けのジュリア谷の噴水」
まだ薄暗いジュリア谷。夜はいま明けようとしている。静かに夜が明けてゆく牧歌的な情景を木管楽器が情緒的に歌い交わす。牛の群れが乳白色の朝もやの中をゆっくりと通り過ぎて行く。あたりは次第に明るさを増し、もやがだんだん晴れてくる。いつもと変わらないローマの一日が、こうして静かに始まる。
第2曲「朝のトリトンの噴水」
澄み切った朝の空気の中、突然響きわたるホラ貝の音。急に目が覚めたように曲は始まる。トリトンは海神ポセイドン(ネプチューン)の息子で、下半身が魚、上半身が人という半人半魚。「海のラッパ手」という異名を持ち、嵐で難破しそうな船を見つけると、ホラ貝で嵐を鎮めてくれる、なんとも親切な神である。
第3曲「昼のトレヴィの噴水」
海馬に引かせた馬車に乗り、トリトンや女神たちを従えたポセイドンの凱旋。木管楽器により提示される荘重なテーマは金管楽器へ受け継がれ、雄壮さを増し、ポセイドンたちが近づいて来るさまを表す。雲が起こり、海はまばゆいばかりに輝く。目がくらむような黄金の光の中、勝ち誇ったポセイドンの行列が目の前を通り過ぎて行く。そして遠くから響くトランペットの音とともに彼方へ消えていく。
第4曲「黄昏のメディチ荘の噴水」
噴水から、あかね色に染まった街が見える。夜明け、朝、昼と過ぎていったローマの一日も、そろそろ終わりを迎えようとしている。鳥のさえずり、木々のざわめきが聞こえる。あかね色の空は次第に暗さを増し、群青色に変わっていく。遠くで教会の鐘が鳴り、フルートが奏でるひばりが夜の訪れを知らせ、空には星が瞬きだす。やがて、ひばりもいなくなり、鐘の音だけが残る。そして、静かに明けたローマの一日は、感謝と共に静かに夜のとばりに包まれる。
「ローマの松」
第1曲「ボルゲーゼ庭園の松」
ボルゲーゼ庭園の松林の間で子供たちが遊んでいる。輪になって踊ったり、兵隊ごっこをして行進したり戦ったり。自分たちの叫び声に興奮して、夕暮れのツバメの様に群れを成し、来ては去っていく。突然、場面は変わり...。
第2曲「カタコンベの傍らの松」
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05月01日(火)
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