ID:85567
Kenの日記
by Ken
[99136hit]

■「尊厳死」
末期の脳腫瘍と診断された米国の女性「ブリトニー・メイナードさん(29)」が医者の処方した薬で自殺(尊厳死)したというニュースがありました。メイナードさんは今年4月に医師から「悪性脳腫瘍で余命半年」と宣告されて、「尊厳死」が認められていないカリフォルニア州から尊厳死が合法化されているオレゴン州に移住したのだそうです。そして医者の見立てに合致したかの如く「11月1日」自殺したのでした。

この間メイナードさんはネットで情報発信し続けました。「Bucket List」という単語が印象的でしたが、メイナードさんの最後の望みは「グランドキャニオン」に行くことで、旦那さんと一緒にグランドキャニオンに登り夢を果たしました。残り少ない「時間」をできるだけ有効に使おうと本人も周りの家族も一生懸命過ごしたようです。残された家族にとって悲しい思い出のようにも思えますが、残された家族にはメイナードさんのいない人生が始まりますし、メイナードさんの最後を有意義に看取ったことで気持ちの整理もできるだろうとと思いました。

このように「死が間近に迫っている」ということが発覚した場合、まず医者・家族が本人に知らせるのかどうかという問題がまずあります。本人には知らせずとも本人が薄々察知することはありますが、病人本人はハッキリ宣告されない限り「一縷の望み」を持ち続けることは可能です。そうした望みを持ちつつ闘病することと、死を宣告された後の期間を自分のやりたいことを実行して過ごすことのどちらが幸せなのか難しいところです。

しかし明白な状況は、医学は進歩して人間の延命措置はどんどん進歩します。さらに製薬会社はどんどん新しい薬を開発してこれまでは治療が難しかった病気の治療を可能としていくことになります。そして医療費・薬代はどんどん高額になっていきます。メイナードさんの場合は延命措置が長続きしないほど進行の早い病気のようですが、本人・家族が望めば更なる高価な延命治療が行われたと考えられます。ベッドで高価な延命治療を続けるか、その「金」で愛する人と「憧れの場所」にいって存分に楽しんで自殺するのか。それぞれの患者で考え方が違っていて良いと思いますが、アメリカのように「尊厳死」を合法とする地域があるということは患者に選択の幅を与えることとなっている点で評価できると思います。

がんの末期患者のように時を置いて襲ってくる激痛を抑えることはできても、死を迎えるまでそうした激痛が何度も何度も襲ってくるという精神的な「恐怖・苦痛」を除去することはできません。日本では患者はこのような恐怖・苦痛のフルコースを経た後に死ぬことになるのだそうです。そうした恐怖・苦痛を一定期間ではっきり拒否し、それまの時間は「思い切り自由に使う」という発想は決して後ろ向きの行為ではないと思います。
11月05日(水)
[1]過去を読む
[2]未来を読む
[3]目次へ

[4]エンピツに戻る