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Kenの日記
by Ken
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■宮崎龍介の母
NHK朝の連続テレビドラマ「花子とアン」で「蓮子さん」の駆け落ち相手の宮本龍介(実名は宮崎竜介)の母が登場しています。タイトルロールより「蓮子」さんとか「伊藤伝右衛門」が話題になっていますが、この宮崎龍介の母「宮崎槌(ツチ)」さんも十分に物語になる背景をお持ちなのです。テレビでは庶民の暮らしを知らない「蓮子」さんをチクチク苛める「姑」のキャラクターを与えられていますが、これから別なエピソードが語られるのでしょうか。
まず、「宮崎槌」さんは「孫文」を支援して辛亥革命に貢献した「宮崎滔天(本名虎蔵)」の奥さんです。この「滔天」という人はもっぱら中国革命に情熱を燃やしましたから、正業を持たず「家」にも帰らずに中国・日本各地を駆け回るという生活をしていたので「婦人」の槌さんが様々な仕事をしながら子供を育てました。更に「滔天」の活動を助けて中国からの留学生(革命の志士)の世話をしました。辛亥革命で中心的な役割を果たす「黄興」「宋教仁」などは「ツチ」さんの世話になった代表的な革命家です。この中国革命家支援は長男の龍介も手伝いました。因みに「滔天」は辛亥革命後は浪曲師になって師匠と全国を回る生活に入ってしまいます。この時も「ツチ」さんは家で子供達を一人で育てることになりました。
こう書くと「宮崎槌」さんは小さいときから苦しい生活を送った苦労人のように想像しそうですが、実は「宮崎槌」は熊本県玉名の名家「前田家」の次女として生まれました。前田家の豪邸は有名で熊本赴任中の「夏目漱石」が滞在したことがあり、その時の模様から「草枕」が生まれました。因みに草枕に登場する出戻りの旅館のお嬢さんは「槌さん」の姉の「卓(つな)さん」がモデルだそうです。
この前田家には「滔天」の関係で「黄興」も一時身を寄せていたことがありました。「卓(ツナ)」さんも「弟さん」も後に中国人の革命志士の世話をすることになります。「槌さん」は姉弟・子供も動員して中国革命の支援をしたのでした。「宮崎滔天・槌夫妻」は多分現在でも中国でもっとも尊敬されている「夫婦」だろうと思われます。中国との関係がギクシャクしている時期ですから、是非この「宮崎滔天・槌夫妻」のことを、ドラマのどこかで触れて欲しいと思います。
08月07日(木)
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